鎌倉時代後期伝える国宝「一遍聖絵」 藤沢でレプリカ展示

国宝「一遍聖絵」のレプリカを公開した展示会=藤沢市

 遊行寺(神奈川県藤沢市西富)を総本山とする時宗の開祖一遍(1239~89年)の伝記をまとめた国宝「一遍聖絵(ひじりえ)」(全12巻)のレプリカを公開した展示会が、藤沢駅南口の商業施設「ODAKYU 湘南 GATE」6階の藤沢市民ギャラリー・常設展示室で開かれている。

 藤沢市の主催。レプリカは1993年から2001年までの間、同市の事業として制作された。公開されるのは01年以来。作品は一遍の足跡とともに、鎌倉時代後期の日本各地の様子を伝える貴重な記録となっている。

 展示会では11月10日まで4期に分けて全12巻を披露。初回は29日まで1巻(誕生~九州修行)、6巻(片瀬の踊り念仏~江の島)、9巻(京都石清水八幡)、10巻(安芸厳島)を出展している。

 鎌倉入りを拒否された一遍一行が「片瀬の浜の地蔵堂」で踊り念仏を行う様子や、江の島を描いた現存最古の絵とされる部分は、一遍と藤沢との関わりが伝わる内容。冒頭の1巻では、予州(愛媛県)に生まれ、豪族で後に出家した父の命で出家し、鎮西(九州)に修行に向かう一遍の原点が描かれている。

 9月28日と11月2日には、学芸員が展示の概要などを説明するギャラリートーク(各日午前11時と午後2時の2回)を行う。

 入場無料。第2月曜休室。問い合わせは、同市郷土歴史課電話0466(27)0101。

© 株式会社神奈川新聞社