染色体分配に重要な張力センサーの仕組みを発見

2019年9月17日
早稲田大学

染色体分配に重要な張力センサーの仕組みを発見
SET/TAF1がん遺伝子による急性骨髄性白血病の原因を解明

【ポイント】
・急性骨髄性白血病の原因のSET/TAF1がん遺伝子が、染色体分配を正確に制御していることを発見
・がん遺伝子産物であるSETタンパク質の異常が、細胞をがん化する分子機構を世界で初めて解明
・急性骨髄性白血病等のがんの治療や、抗がん剤の創薬研究に貢献

早稲田大学理工学術院先進理工学研究科の浅井裕一郎(あさいゆういちろう)助手と寺田泰比古(てらだやすひこ)教授の研究グループは、筑波大学の永田恭介(ながたきょうすけ)教授(筑波大学長)らと共同で、急性骨髄性白血病(AML)の原因として発見されたがん遺伝子・SET/TAF1(以下、SET)が、細胞の増殖においてAurora Bキナーゼ(リン酸化酵素)やPP2A(脱リン酸化酵素)とともに第3の張力センサーとして染色体分配を正確に制御していることを解明しました。この仕組みが働くことによって、私たちの遺伝情報が正確に子供達へ受け継がれます。さらに、がん遺伝子産物であるSETタンパク質の異常が、染色体の中心領域であるセントロメア(※1)の張力センサーシステムを破壊することで、染色体の分配制御を撹乱させ染色体異常を誘導しがん化の原因になることを、分子生物学的手法を用いて明らかにしました。この研究成果は、急性骨髄性白血病等のがんの治療に貢献し、抗がん剤の創薬研究において重要な基盤情報となると考えられます。

本研究成果は、細胞生物学の専門誌『The Journal of Cell Biology』(ロックフェラー大学出版)のオンライン速報版に2019年9月16日に掲載されました。

論文掲載URL:
http://jcb.rupress.org/content/early/2019/09/13/jcb.201811060

詳細は、早稲田大学ウェブサイトでもご覧いただけます。
https://www.waseda.jp/top/news/66394

【研究内容に関するお問い合わせ先】
早稲田大学理工学術院 助手 浅井裕一郎
Tel: 03-5286-3307 Email: yu-asai@aoni.waseda.jp

早稲田大学理工学術院 教授 寺田泰比古
Tel: 03-5286-3307 Email: yterada@waseda.jp