「DVD=3」 H.E.A.T『ライヴ・アット・スウェーデン・ロック・フェスティヴァル』 立ち上がる一瞬の新世界

H.E.A.T『ライヴ・アット・スウェーデン・ロック・フェスティヴァル』

 吠えるヴォーカル、うなるギター、刻まれるリズム、ふいに現れる美しいハーモニー。このコーナー名「音楽玉手箱」にふさわしい、まさに玉手箱を開けたような、華やかさ楽しさを感じるパフォーマンスだった。タイトルどおり、2018年に開催されたスウェーデンを代表するロックフェス「スウェーデン・ロック・フェスティヴァル」での模様を完全収録しつつ、ミュージックビデオ9曲も収録した本作。ライブ映像はメインステージのトリを務めたものだというが、会場の一体感や高まりもびしびしと伝わってくる。

 プロレス……という言い方が正しいのかどうかわからないけれど、音楽で空間を包み込み、演奏のパフォーマンスと立ち上る炎などの演出でその空間を鮮やかに埋め尽くしていくさまは一見の価値あり。あらゆるライブとは、その場に一瞬の新世界を構築してみせることなのかと、なにか真理めいたものに気づかされてしまった。

(ビクターエンタテインメント・5400円+税)=玉木美企子

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