おとなの休日 in 草津 都市化の進む「草津」大切に残される歴史の足跡 ~旧東海道を散策~

―大人の探訪スポット―

JR草津駅の南側には、川床が民家より高い天井川(旧草津川・現在は廃川)があり、交差する旧東海道沿いには草津宿本陣を中心とした歴史的な景観が残されています。

一方で、草津は近畿圏でも「住み良いまち」として人口増加を続け、

草津駅周辺は百貨店や高層マンションが集積し、新旧が融合する町並みが形成されています。

東海道五十三次の52番目
近世交通の要所「草津宿」

江戸時代、東海道の52番目の宿場として栄えた草津宿。木曽へと続く中山道との分岐点でもあり、人と物資で活気にあふれ、品川宿や府中宿とともに一種の関所的な役割も果たし、重要視されていました。宿村大概帳(天保14年)によると、現在のJR草津駅の南に南北約800m、東西約500m内に本陣2軒、脇本陣2軒、問屋場、飛脚取次所、荷物検査を行う貫目改所、そして70以上あったといわれる旅籠が軒を連ねていました。

現存する最大規模の本陣
国史跡「草津宿本陣」

公家や参勤交代の大名らが宿泊休憩する2軒の本陣のうち、田中七左衛門が本陣職を務めた本陣が今も残されています(昭和24年史跡指定)。黒光りする立派な柱や梁、柏葉の襖、入口から上段の間までまっすぐに延びる畳廊下、見事なデザインが施された欄間や釘隠しなど、細部にわたり江戸時代の情緒あふれる建築美を見ることができます。

宿泊名簿には、明治天皇、皇女和宮、吉良上野介、土方歳三、シーボルト一行など、時代に名を馳せた歴史人たちの名が記されています。明治3年には寛永から200年以上続いた本陣が役割を終え、その後は役所や公民館として利用されました。

現在の草津宿界隈は商店街になっており、多くの建物が改変、消失していますが、草津宿本陣は修繕されながら数百年経った今でもほぼ完全な形で旧規模をとどめ、江戸時代の全盛当時の様子を今に伝えています。

関札(宿札)/宿泊者が持参し、本陣前に掲げたとされる関札は、木製460枚、紙製で約2900枚も残っています。

本陣内の畳廊下/敷地面積1305坪、建坪468坪、部屋数は39室。土間を挟んだ北川の空間には本陣職を務めていた田中七左衛門一家の住居棟があり、材木商も営んでいたことから「木屋本陣」とも呼ばれていました。もう1軒あった田中九蔵の本陣は明治以降に途絶え、建物も消失し見ることはできません。

吉川芳樹園/草津宿本陣向かい側に構える店舗兼主屋は、江戸末期に建てられた脇本陣藤屋与左衛門家(国登録有形文化財)。吉川芳樹園は、明治40年の創業以来、約110年近く近江茶を販売する老舗専門店。明治時代から使われている木の茶箱や茶器が並び、店内は時が止まっているかのような趣があります。

営業時間9:00~18:00 定休日/日曜日

追分道標/右 東海道いせみち 左 中仙道美のぢ

天井川(旧草津川)のトンネル横に今も残る江戸時代の道標。手前から右手へ進むと51番目の宿場「石部宿」へ、真っ直ぐトンネルを抜けると中山道へと旅人を導きました。当時は草津川を渡って進み、トンネルができたのは明治19年のこと。

太田酒造道灌蔵/この付近は、旅に必要な馬や人足の用意をする問屋場や荷物の重量検査を行う貫目改所が設置されていました。太田家の祖先は貫目改所の役人として宿駅業務にも当たっていたとのこと。明治以降に酒造りを開始、2Fには江戸時代からの貴重な史料が展示され、無料公開されています。

 営時間9:00~18:00 定休日/日曜日、祭日

今回の「探訪スポット」

■史跡草津宿本陣

滋賀県草津市草津1丁目2-8

(草津駅東口から旧東海道沿いを南に徒歩10分)

TEL:077-561-6636

■草津宿街道交流館

草津市草津3丁目10-4

(草津駅東口から旧東海道沿いを南に徒歩15分)

TEL:077-567-0030

■取材コーディネート

草津市総合政策部 企画調整課(草津市役所内)

草津市草津3丁目13-30

TEL:077-561-6692

■情報誌「自悠時間」2015年3月掲載

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