食物アレルギーの悩みに寄り添う 長崎にボランティア団体 事故防止へ情報共有

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講座で食物アレルギーに関する質問に答える益子代表(左)=長崎市、出島交流会館

 食物アレルギーの子を持つ保護者らの不安を解消しようと、長崎市を拠点に活動するボランティア団体「ながさき食物アレルギーの会ペンギン」が発足した。情報交換の場や講座の開催などで、悩む保護者らに寄り添う。県民ボランティア活動支援センター(同市)によると、243の登録団体(7月末現在)のうち、食物アレルギーをテーマに活動しているのは同会だけ。識者も「悩みや情報共有の場があれば早めに心構えできる」と期待する。
 「医療機関で診断を受け、正確な情報を保育園や学校に伝えることが大事。正しい情報が分からないと、預ける方も、受け入れる側も不安」。8月下旬、同会が「入園・入学前準備」をテーマに長崎市内で開いた講座。参加した保護者らに、私立校の家庭科講師で、自身も食物アレルギーの子を持つ益子美沙子代表(40)がアドバイスした。
 2012年、東京都調布市の市立小学校で、乳製品アレルギーのある女児が給食後に死亡。この事故に心を痛めた益子代表は職場などで啓発活動に取り組み、看護師や保育士ら、活動に共感する仲間7人と今年7月に会を結成した。講座では子どもの原因物質(アレルゲン)の種類や治療の進め方などについて情報交換。参加者は「学校にどこまでお願いしていいのか分からない」などと悩みを打ち明け、益子代表らが助言する。
 県教委によると、食物アレルギーを持つ県内公立小中学校の児童生徒は本年度4265人で、全体の4.1%。昨年度は公立小中学校の給食に関し、食物アレルギーの事故が5件発生した。事前に申請のない食材が原因だったケースや、給食時に別の児童のくしゃみが顔にかかって発疹が出た事例もあり、対応の難しさが浮き彫りとなった。誤食や誤配など事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」事案も後を絶たない。
 事故を未然に防ぐため、県教委は昨年度、公立小中高で、児童生徒のアレルギー情報と学校給食献立のアレルゲン(原因食材)に関する管理システムを導入した。保護者が子どもの対応食を事前にスマートフォンで確認でき、給食時は教員がタブレット端末で配膳をチェックする仕組みだ。今のところ、県立の特別支援学校、定時制高、平戸市、五島市の学校で導入。試用している自治体もあり、県教委は「将来的には全市町に広げたい」としている。
 益子代表によると、子どもの成長とともに、家族の目が行き届かない場所で食事をする機会が増えるため、周囲のサポートも欠かせない。管理栄養士で県立大シーボルト校栄養健康学科講師の本郷涼子さん(43)は「スタッフに医療関係者がいるのは心強い。悩みや情報を共有できる場があると、早めに心構えができ、安心できるのでは」と期待している。
 同会は講座や情報交換、アレルギー対応の料理教室などを開催し、今後は長崎市外にも活動の場を広げていく方針。益子代表は「親として、教育者として、できることを続けたい」と話す。