V長崎 J1と天皇杯V照準 終盤戦、上昇気流に 鍵を握る京都、大宮戦

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎が、シーズン終盤を前に息を吹き返している。リーグ戦はここ4試合で3勝1分けと上位を追い上げ、天皇杯はクラブ史上初の8強入りを決めた。J1昇格を掲げるリーグ戦は残り10試合、天皇杯は日本一まであと3勝。上昇気流に乗ったチームは、迷わず二兎(にと)を追う。
 リーグ戦は前半戦を8位ターンと出遅れ、さらに7~8月は4連敗で一気に13位まで順位を落とした。この時点で、上位との勝ち点差は自動昇格圏内の2位まで「15」、昇格プレーオフ進出圏内の6位まで「10」。大きく水をあけられたが、ここから逆襲が始まった。
 「まずは球際の厳しさとか、基本的なところから見直した」(亀川)。全員が気持ちを入れ直して戦う姿勢を取り戻し、4連敗の直後に3連勝。14日の第32節アウェー徳島戦では、先制されてもドローに持ち込む粘り強さを発揮した。
 勢いは天皇杯でも持続。18日に行われたJ1仙台との4回戦は、徳島戦から先発10人を入れ替えて挑み、J1仙台を相手にクラブの歴史を塗り替える勝利を挙げた。敵将に「仮に判定があったとしても長崎のゲーム」と言わしめる、文句なしの快勝だった。
 シーズン序盤は攻撃に連動性を欠き、中盤は守備が安定しなかった。ここに来てようやく攻守の歯車がかみ合い、チームが目指す「人もボールも動くサッカー」をピッチ上で体現できるようになったのが好調の理由だ。今季19点で得点ランキングトップを走る呉屋だけでなく、他の選手からもゴールが生まれ、戦術のバリエーションは増えている。
 ただ、リーグ戦はまだ11位。昇格争いに「踏みとどまっている」のが現状だ。鍵を握るのは次節からの4位京都、6位大宮との2連戦。V長崎にとっては、勝てば勝ち点3を得ると同時に、相手に勝ち点3を取らせない「6ポイントゲーム」で、2連勝すれば一気に昇格のチャンスが広がってくる。
 一方の天皇杯準々決勝は10月23日に実施。相手は同じJ2の甲府で、勝機は十分にある。来年の元日に東京・新国立競技場のこけら落としとして行われる決勝のピッチに立つのが目標だ。
 手倉森監督は「2019年のクライマックス、リーグとカップで長崎を盛り上げていく」と大逆転劇へのシナリオを描いている。今季の終着点はどこになるのか。輝きを増すチームから、最後まで目を離せない。

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