県内、基準地価 下げ幅さらに縮小 商業地27年ぶり下げ止まり

本県地価調査 平均価格と変動率

 長崎県内447地点の7月1日時点の基準地価は、全用途の平均が前年比マイナス0.7%で22年連続の下落となったが、下げ幅は昨年より0.3ポイント縮小した。緩やかな景気回復基調が続く中、住宅地、商業地ともにプラス地点が増えたことで下げ幅は9年連続で縮小したものの、全体としては下落傾向が依然続いている。
 商業地は0%で横ばいとなり、27年ぶりに下げ止まった。長崎、大村、西彼長与、時津の4市町が上昇。上昇地点は計47カ所で、昨年に比べ13カ所多かった。横ばいの北松佐々町を除く他市町は下落し、特に離島の下げ幅が大きかった。最高価格は長崎市浜町の1平方メートル当たり94万円。最も上昇した地点は、JR長崎駅に近い長崎市恵美須町でプラス11.3%。離島の佐世保市宇久町がマイナス6.2%と最も落ち込んだ。
 住宅地はマイナス1%と21年連続で下落したものの、下げ幅は縮小。長崎、大村、長与、時津、佐々の5市町が伸び、上昇地点は75カ所で昨年より24カ所増えた。最高価格は31年連続で長崎市上西山町の同22万2千円で、上げ幅もプラス9.4%と最大だった。下落率の最大は五島市奈留町のマイナス5.6%。人口減少や高齢化が著しく、需要の回復が見込めない状況という。
 長崎市以外では、佐世保、諫早両市は住宅地、商業地ともに下落率が縮小した。佐世保市は好立地の住宅地や佐世保駅周辺、中心商業地で上昇が目立つ半面、斜面の住宅地の需要が弱く、長崎市と同様に二極化している。諫早市の住宅地は全体的に供給過剰傾向だが、市中心部は上昇に転じ、周辺部では底値感があり、新規分譲地に比べ割安感もある。商業地は幹線道路沿いが上昇に転じ、中心商店街も再開発で底値圏にあるとみられる。
 大村市と長与、時津両町は住宅地、商業地のどちらも上昇率が拡大。このうち大村市の新興住宅地域は価格設定が強気で、中心部の既成住宅地も需要は底堅い。同市の商業地は国道と幹線道路沿いが需要の中心となっている。

県内市町別の変動率

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