世界遺産「平等院」を100%楽しむための徹底ガイド!

京都府南部、宇治川のほとりに立つ世界遺産「平等院」。もとは貴族の別荘だったこの華やかな寺院は、数々の国宝や文化遺産が眠る京都屈指の観光名所です。そんな平等院の基本情報や見どころ、周辺のおすすめスポットまでを徹底紹介します。

平等院とは

平等院の歴史は古く、その建立は約1000年前に遡ります。華やかな貴族文化が花開いた平安時代(794年頃~1185年頃)は、一方で「末法思想」(修行をする人や悟りを得る人がいなくなり、世の中が乱れるという考え)が広く信じられ、貴族や僧侶は「極楽浄土」(一切の苦しみから解放された理想郷)を一心に夢みていました。そんな時代に、「極楽浄土」を具現化するため、時の権力者・藤原頼通によって開創されたのが平等院です。代表的な建築「鳳凰堂」をはじめ、数多くの国宝や貴重な文化財が現存し、世界遺産にも登録されています。

基本情報

拝観料:大人600円、中・高校生400円、小学生300円
営業時間:庭園 8:30 am ~ 5:30 pm (受付終了 5:15 pm)
定休日:年中無休
アクセス:「宇治駅」から徒歩約10分 ※「宇治駅」は「京都駅」から電車で約17分

平等院の見どころはココ!

鳳凰堂

1053年に建立され、当時の姿を今なおとどめる国宝「鳳凰堂」。華美を極めた貴族文化をしのぶことのできる貴重な遺構で、10円硬貨にもその姿が描かれています。最大の特徴は池に浮かぶように建てられていること。きらびやかな宮殿のような姿が水面に映る様子は壮観で、あたかも極楽浄土にたどり着いたよう。堂内には国宝の阿弥陀如来坐像や、52躯の雲中供養菩薩像が安置されており、申し込めば拝観することも可能です。

鳳凰堂内部拝観 9:30 am 〜 4:10 pm
※堂内修理のため、2019年5月13日(月)~11月15日(金)は終日中止

鳳凰

「鳳凰堂」の屋根には、その名の由来といわれる一対の「鳳凰」が飾られています。鳳凰は、古代、風の神として信仰されていた伝説の鳥です。現在屋根に飾られているのは二代目で、初代の鳳凰は敷地内にある「平等院ミュージアム鳳翔館」で拝観できます。一万円札にもこの鳳凰が描かれているので手元にあったら見比べてみましょう。なお、鳳凰堂自体も正面から見ると、尾の長い鳥が翼を広げた姿に見えるといわれていますよ。

観音堂

重要文化財に指定されている「観音堂」は、平等院の創建時に本堂が建っていた場所に、鎌倉時代(1185年~1333年)前期に再建されました。全体的に簡素な造りの建物ですが、軒下で屋根を支える垂木が角材と丸太の二重になっている格式高い様式「地円飛角(じえんひかく)の二軒(ふたのき)」が見られます。現在は修理のため非公開になっているのでご注意ください。

梵鐘

かつて鳳凰堂の南側にある鐘楼にかけられていた「梵鐘」。「天下の三名鐘」のひとつに数えられ、総高199cm、口径123cmという大きさを誇ります。梵鐘の表面には鳳凰や天人(仏教用語で天上界の人をさす)などの模様が技巧を凝らして描かれており、その緻密さは他に類を見ないといわれるほど。現在、鐘楼には模造がかけられ、実物は「平等院ミュージアム鳳翔館」に展示されています。

浄土院

鳳凰堂の裏手に位置する「浄土院」は、浄土宗の栄久(えいく)上人が15世紀後半に開創したと伝えられる寺院。平等院修復のために建てられたといわれ、現在は天台宗の「最勝院」とともに平等院を管理する役割を担っています。本堂の向かって右手にはほかの建造物とは趣の異なる禅宗様の「羅漢堂」があり、振り返れば鳳凰堂を裏側から見ることもできます。地味ながら、隠れた見どころが多いのでぜひ立ち寄ってくださいね。

平等院庭園

鳳凰堂を取り囲むように広がる「平等院庭園」は、平安時代を代表する浄土庭園です。極楽浄土の光景を現世に再現した様式で、極楽浄土にある宝池になぞらえた阿字池が美しく水を湛えています。最古の浄土庭園として、国の史跡および名勝に指定されました。春は桜や藤、夏は睡蓮、秋は紅葉など、季節によって色彩の変化も楽しめます。

扇の芝

表門をくぐるとすぐ左手にある、扇形に芝が植えられた一角。1180年、当時権力を握っていた平家(平清盛の一族)打倒を掲げて挙兵した源頼政は、宇治川で追撃にあい、とうとう平等院のこの場所で自ら命を絶ったといわれています。扇形になっているのは、一説には、最期のときに扇を広げ時世の句(死を前にして詠む歌)を詠んだことから。命日の5月26日には、扇の芝と最勝院にある頼政の墓の前で、頼政を法要する読経が行われます。

養林庵書院

浄土院に隣接する「養林庵書院」は、檜皮葺(檜の樹皮を重ねて屋根をおおう伝統的な工法)の建物。1601年に移建された伏見城(京都市伏見区にあるお城)の遺構と伝えられています。残念ながら内部は非公開ですが、書院、仏間、茶室で構成されており、床の間には「雪景山水図」、襖(ふすま)には狩野山雪の筆とみられる襖絵「籬(まがき)に梅図」が描かれています。

夜のライトアップ

通常は夜の入場はできませんが、紅葉の季節限定で夜間特別拝観が実施されます。鮮やかに色づいた200本ちかくの紅葉が、鳳凰堂とともにライトアップされる情景は、息をのむほどの美しさ。阿字池に映る鳳凰堂も、夜空を背景に昼間とは違った神秘的な姿を見せてくれます。開始直後はとても混み合い入場待ちになるので、7:00 pm以降の拝観がおすすめ。夜間特別拝観でしか手に入れられない色紙に書かれた御朱印もありますよ。

開催日:2019年11月16日(土)、17日(日)、22日(金)~24日(日)、29日(金)、30日(土)、12月1日(日)
時間:6:00 pm ~ 8:30 pm (8:15 pm受付終了)
拝観料:大人(中学生以上) 1,000円、小学生以下は無料

おすすめのシーズン

平等院では、庭園を彩る多様な草木や花々といった自然も見どころのひとつです。季節の移ろいとともに大きく表情を変えていくので、いつ訪れても違った楽しみ方ができますよ。ここでは、その中でもとくにおすすめのシーズンをご紹介します。

藤(4月下旬~5月上旬)

平等院を代表する花といえば、藤。境内には3箇所の藤棚があり、4月下旬~5月上旬に見ごろを迎えます。鮮やかな紫色の藤が、まるで滝が流れ落ちるように咲き誇る姿は幻想的。とくに、阿字池のほとりにある藤は樹齢280年ともいわれ、長いものは1m以上の花房となって垂れ下がります。同じ時期には二種類のツツジか代わる代わる花をつけ、庭園にかれんな彩を加えます。

桜(3月下旬~4月上旬)

藤に先立ち、3月下旬~4月上旬に見ごろを迎えるのが桜です。阿字池沿い、鳳凰堂の四方を取り囲むように桜の木が並び、その種類はシダレザクラやソメイヨシノ、ヤマザクラなど様々。薄桃色の桜は、まるで鳳凰堂の周りに浮かぶ薄雲のように、しっとりと繊細な印象を与えます。春先はお花見をしながら参拝と境内散策を楽しみましょう。

紅葉(11月中旬~12月上旬)

花々の盛りが終わり、肌寒さを感じはじめる秋も平等院を訪れるにはうってつけの季節。11月中旬~12月上旬になると境内に茂る樹々がいっせいに燃えるような赤や黄色に色づきます。約200本もの紅葉と鳳凰堂の鮮やかな赤が共演を果たす姿は、この時期ならではの特別な景観。落葉がはじまり、葉が赤い絨毯となって地面を覆いつくす様子も見どころのひとつです。

雪(12月下旬~2月)

京都府南部に位置する平等院は、冬の時期に積もるほどの雪が降ることはそう多くありません。だからこそ、雪が降り積もった日の雪化粧をした鳳凰堂や庭園はなかなか見ることのできない貴重な姿。出合えたらとてもラッキーといえるでしょう。雪のほかにも、12月~2月にかけては、「平等院ミュージアム鳳翔館」の横に広がる植え込みに山茶花(さざんか)がピンク色の花をたくさん咲かせます。彩の少ない冬だからこそ際立つ華やかさを楽しめますよ。

美術館やカフェもおすすめ

平等院の境内には、国宝をおさめた美術館やひとやすみできるカフェも併設されています。

平等院ミュージアム鳳翔館

旧宝物館の老朽化に伴い、2001年に新しく開館した「平等院ミュージアム鳳翔館」。最先端技術を導入した、宗教法人としては初となる総合博物館です。見どころは、「梵鐘」、「雲中供養菩薩像26躯」、「鳳凰」という3つの国宝。細部まで鑑賞できるよう照明にも工夫が施されているので、「梵鐘」の繊細な模様や、「雲中供養菩薩像26躯」の表情の違いなどをじっくりと鑑賞できます。平等院にまつわる内容を中心に、定期的に展示替えされる特別展もお見逃しなく。

※入館料は平等院の拝観料に含まれています。

茶房 藤花

平等院の境内で本格的な宇治抹茶を味わえる日本茶専門店です。専属の日本茶インストラクター選りすぐりのオリジナルブレンドは100%京都産で、宇治市内や宇治近郊で収穫されたものを中心に使用。お湯の温度管理を徹底し、それぞれの茶葉にあった方法で抽出しているので、茶葉本来のうまみを存分に感じられます。斬新な茶器の使い方にも注目!冷たい煎茶はなんとワイングラスで提供しています。

定休日:火曜日
営業時間:10:00 am ~ 4:30 pm (ラストオーダー 4:00 pm)

参拝の記念に御朱印をもらおう

平等院を訪れた記念にぜひ手に入れたいのが御朱印です。御朱印は参拝のしるしとして寺社名や本尊名を書き入れた証明書のようなもの。鳳凰堂の御朱印は、寺社名「鳳凰堂」と本尊の「阿弥陀如来」の2種類から選べ、鳳凰堂に向かって左手にある集印所で授かることができます。浄土院、最勝院でもそれぞれの御朱印がもらえますが、こちらの集印所の開設は不定期なのでご注意ください。鳳凰堂や鳳凰が刺繍で描かれたオリジナルの御朱印帳(1,500円)も購入できますよ。

集印料:300円
授与時間:9:00 am ~ 5:00 pm

平等院周辺も散策してみよう

平等院を訪れたら、周辺スポットにも立ち寄りましょう。歴史ある神社やお寺、景観の美しい公園など、散策を楽しめるスポットがたくさんあります。ここではその中から2つをご紹介します。

平等院表参道

宇治橋のたもとから平等院の表門へと続く「平等院表参道」は、400年以上の歴史をもつ老舗をはじめ宇治茶の名店が軒を連ね、お茶の香りが漂う風情あふれる参道です。ほかにも和菓子店や食事処、雑貨店などが店を構え、にぎわいを見せます。宇治の特産品も充実しているので、参拝の帰りにお土産探しを楽しんではいかがでしょうか。

宇治公園

平等院の目の前を流れる宇治川の中州にある「塔の島」と「橘島」、川の左岸にある「よりみち公園」で構成される「宇治公園」。散策途中の休憩場所として、また市民の憩いの場として親しまれている公園です。宇治川の川岸と各島には4つの橋が渡されており回遊可能です。塔の島にある石塔も見どころのひとつ。魚の霊を供養し、宇治橋の安全を祈願して建立されたもので、重要文化財にも指定されています。宇治橋の上から眺める公園の美しさもまた格別ですよ。

いかがでしたか。平等院といえば鳳凰堂というイメージが強いですが、ほかにも多くの見どころがあります。知れば知るほど奥深いお寺なので、訪れる際はこの記事を参考に、平等院の魅力を余すところなく楽しんでくださいね。

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