​​プログラミング教育必修化はもう目前!教育現場の悩みを今すぐ解決「プログラミング教育フェア2019」

来年2020年に迫るプログラミング教育の必修化ですが、学校教育現場からは“どのように授業を進めたらよいのか?” といった声も多いのが現状です。同フェアはそうした悩みや要望に応えることを目的とし、会場ではプログラミング教育に関わる教材やシステムなどの紹介や展示、専門家によるセミナー、ワークショップなどが行われました。「第1回プログラミング教育フェア」をリポートします。

会場は名古屋「ポートメッセなごや」

去る8月7日と8日の2日間、“すぐそこにある必修化に向けた課題を解決!”と題された「プログラミング教育フェア2019」が、名古屋市のポートメッセなごやにて開催されました。

会場であるイベントホールには、プログラミング教材や関連サービス、学習システムと学校運営システム、ハードウェアやネットワーク製品など、プログラミング教育学習のあり方を提案するブースが25余り。小規模ながら、今後のプログラミング教育へ向けた示唆に富む内容となっていました。

電子回路モジュールで暮らしの問題を解決!「PIECEシリーズ」

イーケイジャパンのエレキット「PIECEシリーズ」は、パソコンを使わないプログラミング教材。電子回路モジュールを組み合わせることで、暮らしの中の課題解決など、さまざまなアイデアを形にすることが可能。学習のためのキットが一式揃った「PIECE基本セット」は8800円(税抜)で、追加モジュールセットを増やしていけば、できることがもっと広がるとのこと。

モジュールは「入力」「処理」「出力」の3種類で構成されており、電源は単三乾電池2本またはUSB電源という手軽さです。高価なハードウェアを揃えることなく実際に“見える”体験をすることで、プログラミング的思考が育まれるのだとか。プログラミング教育のスターターキットとして大いに力を発揮しそうですね。

Scratchベースでプログラミング可能なロボット「DJI ROBOMASTER S1」

まるでSF映画やロボットアニメに出てきそうな外観が目を引く、空撮ドローンで有名なDJIの教育用インテリジェントロボット「DJI ROBOMASTER S1」。このロボットは、ポラリスエクスポートとCFD販売の各ブースにてお目見え。こちらはScratchベースでプログラミングを作成して動かすこともできれば、スマホやiPadでの操作も可能なのだとか。スムーズな機動性や赤外線ビーム、そしてこのロボット用につくられた“ゲル弾”発射機能も搭載され、レースやバトルゲームなどに使われることも多いようです。

ポラリスエクスポートのブースでは“子どもたちをバーチャルリアリティの世界から引き戻したい”“実際に工具を使って組み立てたりするなど、現物に触れる体験をしてほしい”とのお言葉が。価格は64800円(税込)、大人も夢中になりそうな魅力があることは間違いありません。まずは大人がハマって見せて、子どもを巻き込んでいくのもよいのかも?

3次元上で動きをシミュレート!「動かしてみよう!」

アバロンテクノロジーズの「動かしてみよう!」は、プログラムを作成して、3次元上でシミュレーションできるプログラミング教育ソフトウェア。Scratchベースでプログラミングを作成し、USBケーブルで転送すれば、専用ロボットをプログラムどおりに動かせます。

出力しなくても、プログラミング画面上でシミュレーションして動きを確認できるのが特徴。学校教育現場では大勢の子どもたちが学ぶため、“ロボット待ち”のような混雑も起こることを考えると、大切な機能なのかもしれません。

「動かしてみよう!」には簡単なものから高度なものまで問題形式でプログラミング学習するスタイルで、慣れてきたら自分で問題をつくることも可能なのだとか。これならゲーム感覚で遊びながら学べそうです。

基板そのままのロボット「α-Xplorer」と専用アプリ「C-Style」

ダイセン電子工業のロボットプログラミングキット「α-Xplorer」と、プログラミングアプリ「C-Style」。ハードは“壊れにくい” ソフトは“簡単な操作でわかりやすい“をポリシーに開発・製造され、早くも15年の実績を誇るそうです。ロボットプログラミングキットは大阪市内を中心に海外にまで渡る多くの教育機関に選ばれ、累計3万台突破とのこと。

「α-Xplorer」の外観は基板そのもので地味に感じますが、ブース内でうかがった「基板の心臓部分はここなんだよとかを教えたいから」とのお言葉どおり、これが本道かも? と思わせるものがありました(“遠回りではない”との力強い言葉もいただきました)。

「C-Style」はC言語をアイコン化した、ダイセン電子工業オリジナルのプログラミングソフトです。タッチ操作でC言語の仕組みや論理的思考が自然に身につく、簡単でありながらも本格志向。実際のプログラミング画面は質実剛健といった様相ながら、こちらも実はこのほうが早く本質にたどり着くのかも? と思わせるものが。

手渡されたパンフレットには“教えないプログラミング授業の手引き”という文言があり、これは“自分で考えること”をゴールとするプログラミング教育の鉄則なのかもしれません。

「ScottieGo!」と「MA-1」でパソコンなしでもプログラミング学習できる

教育産業/エルモ社が提案するプログラミング教材「ScottieGo!」とAndroid搭載実物投影機「MA-1」は、組み合わせることでパソコンなしでもすぐに取り組めるプログラミング学習スタイル。

「ScottieGo!」は”TURN LIGHT”や“STEP”などと書かれた英語表記のカード(今後日本語版も発売されるとのこと)です。それでもカードを並べて遊んでいる子どもたちが絶えない様子からは、紙のカードというアンプラグドなツールには抵抗感がなく、低学年には最適なのかもしれないと感じました。こちらのアナログのカードをカメラでスキャンすれば、Androidのプログラムを起動できるとか。

Android搭載実物投影機「MA-1」を組み合わせれば、お手本を見せたり発表したりするのに最適。小学校3年生くらいまでを対象としたアンプラグドなプログラミング学習ツールとあって、こちらは即戦力となりそうです。

実は教育現場に最適「Pepper」

ソフトバンクが開発し、話題になった感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper」。店舗などで見かけることも多いこのロボットが、教育現場でも活躍していることをご存知でしたか? Pepper本体とプログラミングツール、教師用指導書、学校向けアプリなど一式を3年間貸し出すという形で、2017年より行われている試みだとか。

Pepperでプログラミング学習とは意外に思ってしまいますが、ブースでは岐阜県の小学校における学習例、“図書館の貸し出し種類と冊数を増やしたい”という取り組みが紹介されていました。

課題解決の手段としてプログラミングが活用され、人型ロボットPepperがそれを体現していく教育現場、まさに20世紀の人々が想像していた未来がここに!? 現在も教育機関からの更なる申し込み受付中とのことで、Pepperくんの活躍はこれからも続くようです。

会場ではワークショップなども

会場では、教員向けのワークショップや子ども向けのプログラミング体験教室などの各種イベントも行われていました。教員向けにちょうど行われていたのは「プログラミングゼミの活用方法と授業実例」。こうした実践的なレクチャーの場は、今もっとも求められているのでは。

また、子ども向けプログラミング教室ではロボットを動かすプログラミング体験が行われており、楽しそうな様子からは子どもたちの意欲が伝わってきました。今後の「プログラミング教育フェア」のますますの発展を期待しています。

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