クビサ、2020年シーズンはDTMに出場か。ウイリアムズF1はラティフィの起用目指す

 ロバート・クビサの素晴らしいF1復帰は、2019年シーズンをもって終わりとなりそうだ。

 2011年の2月にラリーで大クラッシュを喫して重傷を負ったクビサは、2019年シーズンをもってチームを離れることを決断した。その代わりに、クビサはドイツのDTMドイツ・ツーリングカー選手権に参戦することがほぼ決まっているという。すでに、あるチームから確たるオファーを得ているようだ。

 クビサは2017年にウイリアムズで何度かテストを行い、2018年にはリザーブ兼開発ドライバーに就任。そして2019年に8年ぶりのF1復帰を果たした。しかしながら、クビサとチームメイトのジョージ・ラッセルは、極めて競争力の低いマシンで苦戦している。2019年のベストリザルトは、ドイツGPでのクビサの10位入賞だが、大抵の場合はクビサもラッセルもで最下位付近でレースをフィニッシュしている。

 クビサは、F1を続けたかったのだろうか?

「(怪我から)回復してモータースポーツに戻り、F1に復帰するには多くのエネルギーと長い時間がかかった」とクビサは語った。

「僕は残りたい。今年、目標はF1に残ることだと僕は言った。もちろん僕の答えはイエスだけれど、あらゆる犠牲を払ってでもということはない」

「まず第一に、何が僕をレースの喜びに戻らせるのかということにつきると思う。もちろん今シーズンはパフォーマンスの観点からは非常に厳しいものになっているし、また長いブランクの後でF1に戻るには多大な努力が必要だった」

「簡単なことではないんだ。特に今、僕たちが置かれているような難しい状況ではね。それでも僕はチームがチャンスを与えてくれたことを感謝しないではいられないし、将来がどうなるか様子を見ていくことになるだろう」

■ウイリアムズF1のねらいはラティフィの昇格か

 パドックの情報筋によると、ウイリアムズは2020年に、現在FIA-F2に参戦しているニコラス・ラティフィをラッセルと組ませたがっているという。同じカナダ人ドライバーのランス・ストロール(レーシングポイント)と同様に、ラティフィにも彼のレースに投資している富豪の父親がいる。ウイリアムズは、間違いなく追加収入を得ることになるだろう。

 しかし現時点でラティフィには、F1のスーパーライセンス取得に必要なスーパーライセンスポイントが足りていない。ラティフィが今シーズン末までに十分なスーパーライセンスポイントを獲得できるかどうかまだわからないので、ウイリアムズは、クビサにチームにおける自身の進退を決めるのを12月まで待つように伝えた。

2019年FIA-F2第8戦ハンガロリンクのレース1で優勝したニコラス・ラティフィ(ダムス)

 もしラティフィがスーパーライセンスを取得したら、彼は2020年のウイリアムズのシートも獲得するだろう。そうなるとクビサはリザーブ兼テストドライバーに降格されるだろう。もしラティフィがスーパーライセンスを取得できなければ、クビサはレースシートを保持できる。

 しかしクビサは12月まで待つことを望まなかった。なぜならもしウイリアムズのレースシートを失って、12月から他のチャンスを検討することになったら、その時点で好ましいオファーはなくなっているだろうからだ。

 さらにクビサは、競争力のないウイリアムズのマシンに乗ってもう1年最下位付近で苦戦することを望まなかった。2019年から2020年にかけて、マシンが大きな改善を見せる見込みはないのだ。

 競争力のあるDTMのチームでレースをすることは、クビサにとって見送るにはあまりにも魅力的なオファーだった。

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