ユニリーバ、2020年目標の再エネ100%を前倒しで達成

ユニリーバは16日、現地法人など全世界の拠点で再生可能エネルギーを100%達成したと発表した。2020年までの達成を目指していたが、1年前倒しでの実現となった。全電力のうちの38%は電力販売契約とグリーンタリフ(再エネ由来電力の直接購入)によるもので、そのほかは自社施設での太陽光発電やグリーン電力証書を活用しているという。同社は2030年までにCO2排出量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指しており、今回の達成が重要な足掛かりになるとの見解を示している。

23日に迫った国連気候行動サミット2019を前に、ユニリーバが存在感を示した。マーク・エンゲル最高サプライチェーン責任者は今回の発表についてこう話している。

「気候危機はわれわれが直面している差し迫った課題の一つ。世界5大陸で再生可能エネルギー100%を達成するために努めた。もちろん、まだやるべきことはある。しかし今日の発表が別の場所でもさらなる行動を生むきっかけになり、気候危機に立ち向かい、世界気温上昇を1.5度未満に抑えることができると証明するのに役立てることを願っている」

同社では現在、18カ国の自社施設で太陽光による発電を実施。再エネの割合の中で最も多いのはグリーン電力証書の購入によるものと見られている。日本国内では2015年11月、同証書を使って、全事業所の電力を100%再エネに切り替えている。

さらに再エネ100%が早期に達成できた大きな要因として、エネルギー効率化プログラムへの投資を挙げている。これにより総エネルギー消費量の28%が削減でき、2008年以降、生産にかかる1トンあたりの二酸化炭素の排出量が半減。金額にして6億ユーロ(約710億円)以上のコスト削減にもつながったとしている。

同社は事業用の電力を100%再エネで賄うことを目指す国際イニシアティブ「RE100」に加盟。世界の加盟企業では、アップルやグーグル、レゴ、オートデスク、マークス・アンド・スペンサーなどが再エネ100%を達成している。

ユニリーバはカーボンプライシング(炭素の価格付け)について、気候変動問題に取り組む上で欠かせないものと言及。同社が再エネへの投資を促進する方法の一つとして「インターナル・カーボンプライシング(社内で設定した炭素価格)」の導入を挙げ、二酸化炭素の排出量1トンあたり40ユーロ(約4700円)の価格を設定し、その収益を気候変動への影響を削減する事業に再投資していると説明している。

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