河野太郎氏が着用の腕時計が、実はヒトにも環境にも優しい超スグレモノだった

最近、twitterなどのSNSで現防衛大臣(当時は外務大臣)を務める河野太郎氏が2019年8月21日中国で行われた日韓外相会談の際に身につけていた腕時計が話題になりました。

話題となったきっかけは、公開された写真の中で康京和(カンギョンファ)韓国外相と握手している際に見えた腕時計について、SNS上で金時計と間違われた事から、その後SNS上にて河野氏が

「竹ですが、何か。」

と反応した事から話題となり、竹製品が注目を浴びるようになりました。

河野太郎氏のtwitterはこちら

■河野太郎氏はなぜ竹製時計を愛用?今、竹の利用が注目されている理由

・河野太郎氏が愛用する竹製の腕時計の正体とは

河野太郎氏が2019年8月の日韓外相会談時に付けていた話題となった腕時計は、写真上で袖口からチラッとしか見えないこともあって、金時計を付けているのではないかと批判らしきコメントもネット上に流れましたが、その時計は実は竹製のものであることが後に河野氏のSNSでの反応から判明しました。

この時計は、2017年にフィリピンのマニラで行われたASEAN50周年式典の記念品として配られたもので、河野氏自身はツイッターで「とても軽いのと金属やプラスチックのバンドと違って手首のアトピーがひどくならないので、愛用中です。」と発言しています。

また、この竹製の腕時計のメーカーはフィリピンのKAWAYAN製品と言われており、河野太郎氏の着用していた商品は非売品ですが同類の商品はおよそ日本円で5,000円ほどの値段となっています。

同メーカーとされているKAWAYAN竹製腕時計

■金属アレルギー、アトピーにの人にも嬉しい生活に使える竹アイテムをご紹介

竹製品は、河野太郎氏のようにアトピーや金属アレルギーに悩む人にとっては非常につけやすいのも大きな特徴です。

近年、竹を使ったアイテムを作る動きが少しずつ広がりつつあります。こちらではとても珍しい竹のウェアブランド”Boody”をご紹介いたします。

・竹を使った肌にやさしいウェアが人気の「Boody」

画像はBoodyHPより

竹を原料とした様々なアイテムを販売しているオーストラリア生まれの「Boody」。

快適さやスタイル、健康をテーマとしたエコウェアブランドです。男女それぞれのアンダーウェアやソックスやトップス、スカーフなどのアクセサリーやベビーウェアも取り扱っています。

竹から衣類ができるというイメージはなかなか湧いてきませんが、簡単にそのプロセスをご紹介しましょう。

画像はBoodyHPより

まず竹を収穫→竹を柔らかくする溶液に浸す→竹パイプを取り出して乾燥させ板状にする→乾燥させた板状の竹は柔らかく軽い繊維へと加工される→この繊維を衣類に使用するビスコース糸に加工する

このようなステップを経て「Boody」のウェアが完成されていきます。

また、有機栽培された竹、加工処理に使う水は再利用、また縫製ではループ型に編む方法を採用しているので生地がほとんど無駄にならないなど、非常に環境にやさしい方法で作られています。

すべてのアイテムに竹が使用されており、着心地の良さもお墨付き。廃棄されるはずだった竹を用いたエコな取り組みといえます。

・竹を使った「Boody」が作るウェアのメリット

「体に優しい素材」

優れた抗菌・抗真菌力:抗菌・抗真菌力に優れた竹は、製造の工程や繰り返しの選択を経てもその効果が持続されます。この特質を防臭効果に生かしています。

低刺激で肌に優しい:湿疹や敏感肌で悩んでいる人でも安心して着用できます。

高い通気性・吸湿性:竹繊維にある微小な空間が体から湿気を取り、肌を呼吸させます。

「快適な素材」

シルクのような肌触り:軽くて驚くほどソフトで肌に優しい竹は、極上の着心地です。

体温調節:冬は暖かく、夏は涼しいウェアは、かさばり感なく体を温かい状態に保ちます。通年でスポーツウェアに最適です。

静電気防止:中性の電荷により静電気を防ぎ、生地が体にまとわりつくのを防ぎます。

「サステナビリティ(持続可能な繊維)」

有機栽培された原料:殺虫剤、化学肥料等を一切使用せずに栽培されています。

自然環境を生かした栽培:原材料の栽培に使用されるのは雨水のみ。生産工程で使用される水は全てリサイクル、再利用されます。

空気の浄化:竹林は森林より30%以上も多くの酸素を生み出し、より多くの二酸化炭素と温室効果ガスを吸収します。

短期間での成長・再生:竹は驚くほど成長が早く、1日に1メートル以上伸びる品種もあります。新しい茎が次々に派生し、繰り返し収穫することができます。

「Boody」の製品づくりは、環境にも人にも配慮された方法で行われていることが分かります。竹には抗菌効果や消臭効果もあるためアンダーウェアには最適。竹という素材の意外な効果を、着て楽しむことができる取り組みです。

■街で多く見かける日も近い…少しずつ広がっていく竹アイテム

人にも環境にもやさしい竹の利用。竹のもたらすメリットが注目され、サスティナブルな取り組みは国内外に広がりを見せています。

竹を使ったアイテムは、「Boody」のほかにも次のようなものがあります。

中越パルプ工業の「竹紙」、その中越パルプ工業とデザインチーム「minna」がコラボした和のデザインの紙が素敵な「MEETS TAKEGAMI」、竹を使った可愛いデザインのベビー・こども食器を取り扱う「アグニー」、竹とバガス(さとうきびの繊維)を原料にした生分解性のモダンな紙の器「WASARA」、タオルや寝具、インナーや布ナプキンなど幅広い商品を展開する「TAKEFU(竹布)」など、多くのブランドが今現在多く展開されています。

・竹林が生態系を壊す?竹商品が多くなればなるほど環境が守られる

上記でも竹製品がサステナブルであるという事をご紹介しましたが、近年森林や生物多様性の保全は、世界中の様々な地域で大きな問題となっています。

その中のひとつに竹林が原因になっているケースも少なくありません。

放置された竹林は各地で拡大。竹は成長が早く、森林やほかの植物を侵食していくため、生体系を壊すことに繋がります。そこに棲む生物たちの命も脅かされ、希少生物の保護も困難になってしまいます。さらに怖いのは自然災害。間伐などの手入れがされていない竹林は、竹の乱立によって根が弱ってしまうことも多く、大雨が降ることで土砂崩れを起こしやすくなるのです。

また、中が空洞になっている竹は、普通の木材と違って製紙原料として使うにしても効率が悪く、伐採や運搬の手間や費用ばかりかかってしまいます。

昔の日本では生活の様々なアイテムに竹が利用されていましたが、現在では日常生活で竹を使うシーンはほとんど見られなくなりました。

成長の早い大量の竹の運搬や廃棄処分には二酸化炭素が発生します。当然ながらそれも環境汚染の一因となります。

一方で、そんな竹をどうにかして効率的に使う方法はないかと、長い時間をかけて研究を続けている人たちもいます。竹の未来、そして環境や命を守る取り組みです。

これまで厄介者扱いされてきた竹の使い道や様々な効果が理解され、環境にも人にもやさしい取り組みが広まりつつあります。

竹を積極的に使うことは竹林の管理、森林や植物、そしてそこに棲む生物たちを守る生物多様性の保全、さらには竹を使った新たな産業が生まれることによる地域経済の貢献や発展にも繋がります。

「廃棄せずに循環させていくこと。」

今を生きる私たちが、これからを生きる命のために、実行していかなければならないことだといえます。

© ソーシャルキャピタル株式会社