余った食材子ども食堂に 市環境センター、食品ロス対策

食品業者から集まった余剰食品を入れている冷蔵庫=佐世保市環境センター

 長崎県佐世保市稲荷町の市環境センターは、市内の食品業者で余った食品を集めて保管する施設を設けた。食品ロスの削減が狙い。将来的には食材調達に苦労する子ども食堂などが活用できるようにする。市廃棄物減量推進課は「食品は受け皿がなければ捨てられる。市内のごみ削減と家庭支援の両方のきっかけにしたい」とする。

 受動喫煙を防ぐ健康増進法の改正を受け、7月に廃止された1階の喫煙室を整備。市内の保育園から譲り受けた業務用冷蔵庫を置いた。業者で食料品の余りが出た場合は写真付きで情報を提供してもらい、引き受けられるかを検討。保管が可能と判断した場合に職員が受け取りに行く。
 背景には、賞味期限切れや食べ残しなどで発生する食品ロスの削減が進まない現状がある。余剰食料を受け入れて必要な施設などに届けるフードバンクは、市内では民間企業が運営する1カ所のみ。しかもこの企業が取り扱う商品しか保管できなかった。

 「食材の調達が格段に進むはず」。谷郷町の教会で毎月子ども食堂を開いている子育て支援団体「親子いこいの広場もくもく」の数山有里代表は、新しい施設を歓迎する。子どもに無料か低額で食事を提供する子ども食堂は市内に約10カ所あり、多くはボランティアで運営。もくもくでは、メンバーが生活の合間に企業を訪ねて食材を集める。このためメンバーの負担は大きく、企業や団体に協力を求めても、問題が起きたときの責任が取れないとして断られることもあった。
 企業側も負担軽減に期待を掛けている。佐世保ヤクルト(日宇町)の山口英隆宅配営業課次長は、社内の規定に基づき賞味期限前に商品を処分する必要があり、分別作業に時間がかかっている現状を指摘。「サービス業でもあるため、多めに仕入れざるを得ないが、今の世の中には逆行している。食料品として消費されることはうれしい」と話す。
 今後は、集めた食料品を市内の子ども食堂に届けるために必要な仕組みづくりや調整を進める。市廃棄物減量推進課は「少しずつ取り組むことが大事。食品ロスの現状に目を向けてもらいたい」とした。

© 株式会社長崎新聞社