北陸信金と鶴来信金合併 20年9月 収益体質を強化

 石川県を地盤とする北陸信用金庫(金沢市)と鶴来信用金庫(白山市)は20日、来年9月をめどに対等合併することで合意したと発表した。超低金利の長期化や、人口減少で経営環境が厳しさを増す中、合併による規模拡大で収益体質を強化し、中小企業への円滑な資金供給を図る。

 北陸信金の石田雅裕理事長と鶴来信金の玉井重治理事長は金沢市内で記者会見し、石田氏は「力を合わせ、切磋琢磨(せっさたくま)しながら、厳しい経営環境を何とか乗り切りたい」と強調。玉井氏は「両信金の良いところを捉え、ビジネスモデルを構築したい」と抱負を語った。

 両信金で抱える計25店舗を有効活用し顧客の利便性向上を図る。距離が近い店舗については集約も検討する。

 合併後は現在の北陸信金を存続させ、理事長に石田氏、副理事長に玉井氏がそれぞれ就く。新しい名称は今年10月に発足させる合併準備委員会で協議して決定。職員の雇用は引き続き維持する。

 両信金は今年1月、顧客の支援サービス向上などを目的とした業務提携で合意。セミナー開催や金融商品の販売などを共同で進めてきたが、経営体質のさらなる強化が必要と判断した。

 預金残高は3月末時点で、北陸信金が1695億円で県内の信金で4位、鶴来信金が1183億円で5位。合併後は3位に浮上する。

■「合併は自然な流れ」 山地富山信金理事長

 富山県信用金庫協会の山地清会長(富山信金理事長)は「人口減少で(需要の)パイが小さくなる中、近くの信金が合併するのは自然な流れ。超低金利で収益環境も厳しくなっている」と話した。

 県内の7信金はデータセンターの共同利用で連携している。互いに自己資本が厚く、合併の機運は高まっていないとするが「コスト削減につながる取り組みがあれば、積極的に協力すべきだろう」と述べ、収益アップに向けた情報交換を活発化させるべきとの考えを示した。

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