一丸のプレーを

 走るときに持ちやすいから、といわれる。その昔、細長いブタのぼうこうを縫い、空気を注ぎ、皮で包んでボールにしたから、ともいわれる。ラグビーのボールは楕円(だえん)形をしているが、そうした理由があるらしい▲どこにボールが転がるのか分からない。そこがラグビーの魅力とよくいわれる。跳ねる先を読めないように、と楕円にしたわけでもないらしいが、不規則に弾むボールを機敏に、がっちり捉える姿につい見入り、見とれてしまう▲ボールの弾む先と、選手が組み合い、駆ける姿に目を奪われる。ラグビーのワールドカップ(W杯)がA組の日本-ロシア戦で幕を開け、日本は鮮やかに攻めて勝利を収めた。8強入りを狙う▲一つにまとまることを「一丸となる」という。ボールの形とはいくらか違い、日本代表のモットーや戦いぶりは、きれいな真ん丸を思わせる。外国出身の選手が全体のほぼ半数というチームは多様であり、同時に一体感を重んじる▲4年前の前大会では強豪を破り、3勝し、日本中を沸かせた。達成感があったのか、大会の後、活躍した選手の代表引退が続いた。目標を「ワンチーム」と定めて、全力で立て直したという▲次は、アイルランドと対戦する。コートで固いスクラムを、胸の内で円陣を。全身全霊のプレーを心に刻みたい。(徹)

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