横浜、ラグビー一色に NZ対南ア、伝統の一戦に熱狂

競技場を背景にしたボランティアの記念撮影で盛り上がる観戦客=横浜市港北区

 強豪国同士が激突するビッグマッチで幕を開けたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の横浜会場。世界中から集まったファンは日産スタジアムの内外で好ゲームに熱狂し、地元関係者は「おもてなし」の心で伝統の一戦を盛り上げた。横浜への誘致決定から4年余り。ついに本番を迎えた「楕円(だえん)球の祭典」に、まち全体がラグビー一色に染まった。

 「ラグビーがマイナーなスポーツだった日本でW杯が開かれ、大勢の観客でスタジアムが埋まる。こんなにうれしいことはない」

 千葉県船橋市に住む会社員伊東範和さん(44)は6万人超が来場した日産スタジアムのスタンドを見回し、感慨に浸った。

 聖地・花園を目指した高校時代のラグビー部の仲間とチケットを確保し、3年間待ちに待って迎えた観戦。しかも史上初の3連覇を狙うニュージーランドと過去2回の優勝を誇る南アフリカとの最高峰の一戦だ。試合後は「外国人だけでなく日本人も多く、感無量。W杯を機にラグビーがもっと日本で浸透してほしい」と興奮した様子で語った。

 スタジアム周辺は、午後6時45分のキックオフの5時間以上前から国内外のラグビーファンでごった返した。JR新横浜駅近くの飲食店では、他会場の試合中継に熱狂的なファンが絶叫。大会に合わせて帰国したニュージーランド在住の田村貴子さん(55)は「なかなか見られないゲーム。スター選手の活躍に期待したい」と話した。

 多くの飲食店は試合に合わせ、ビールや料理の食材をいつもより多く仕入れたという。カフェの女性店長は「生ビールを100杯分用意した。試合が始まる夕方までに売り切りたい」と、準備万全の体制。JR小机駅前で誘導に当たった大会ボランティアの坂井啓二さん(70)=同市港北区=は「この日のため、勉強会などに参加してきた。観客や選手の一生に1度の思い出になるような大会にしたい」と語り、手を振って観戦客を歓迎した。

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