ホンダ本橋CEインタビュー:予選で苦戦もロングランペースには自信。「とにかく確実に走らせてポイント圏内へ」

 初日フリー走行では、10番手前後の速さを見せていたトロロッソ・ホンダ。当然予選では、「Q3進出を期待していたし、それだけの戦闘力は十分にあった」と、ホンダの本橋正充チーフエンジニアは言う。しかしダニール・クビアトは直前のFP3でオイル漏れに見舞われ、ほとんど周回ができず。ぶっつけ本番でのアタックを強いられたことで、Q1落ちを喫した。一方のガスリーも遅いクルマに引っかかったり、タイヤマネージメントに問題があったりして、13番手に終わった。

 とはいえロングランペースに関しては、中団勢の中ではかなり上に位置する。「セーフティカー導入の可能性も高いですし、確実に着実に走らせればポイント圏内に行けるはず」と、本橋エンジニアは期待を込めていた。

――今週末は、初日から好調でした。これまでは、手こずることが多かったですが。
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):ええ。走り出しから順調で、バランスも良く、終始いいポジションで走ることができました。

――ロングランは、どうでした?
本橋CE:これも、よかったです。むしろ一発より、よかったかもしれません。

――確かに一発では先に行かれたルノーに対して、ロングランはトロロッソの方が速かったです。
本橋CE:ええ。いつも以上に、ロングランはよかったと思います。

――その意味でも、予選はかなり期待して臨んだと思います。
本橋CE:そうなんですよ。ところがまず直前のFP3でクビアト車にオイル漏れが出て、予選に備えた走行ができなくなってしまった。市街地コースですし、初日から二日目にかけてのコンディション変化が大きい。なのでFP3できちんと走りたかっただけに、影響は大きかったですね。

2019年F1第15戦シンガポールGP FP3でオイル漏れが発生したダニール・クビアト

――エンジン本体へのダメージはなかった?
本橋CE:それは、ありませんでした。クビアトの予選に関していうと、遅いクルマに引っかかったのもありました。ビルドラップというか、アタック直前の最終コーナーとかで引っかかってしまうと、どうしてもタイヤが冷えたりする。それも若干、ありましたね。

2019年F1第15戦シンガポールGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

――送り出すタイミングの問題も、あるわけですね。
本橋CE:そうですね。今後チームといっしょに、改善して行かないといけない部分です。

――ガスリーはどうでしょう?
本橋CE:こちらも遅いクルマに引っかかって、タイムが伸びなかった。あと予選セッション中に、マシンバランスも変わって行った。何が影響したのか、すこし検証する必要がありそうです。

――シンガポールでの予選は、セッション中のコンディションはほぼ一定のまま推移するものですが。
本橋CE:ええ。アタック前のちょっとしたタイヤの温め方の違いとか、ブレーキの温め方とかを、もう少ししっかり管理しないといけないかもしれません。セッション中の路面変化は確かにさほど大きくないんですが、どのタイミングで、どういうタイヤ温度でといった、アタック前の準備の面で、もっと向上させる必要がありますね。

――純粋な戦闘力からすれば、予選トップ10に入る力は十分にありましたか?
本橋CE:そう思います。金曜日からいいマシンバランスで、タイムもよかったですから。

――決勝レースはどんな展開を予想していますか。
本橋CE:セーフティカー導入の可能性も高いですし、とにかく確実に、着実に、走らせる。ロングランペースは悪くないだけに、何か隙があればポイント圏内までは行けると思っています。

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