柳生博が「やすらぎの刻」で20年ぶりの連ドラ出演。「この作品が最後のドラマ出演のつもりです」

脚本家・倉本聰氏とテレビ朝日がタッグを組んだ「やすらぎの刻~道」(月~金曜午後0:30)に、名優・柳生博が出演することが分かった。

テレビ朝日開局60周年記念帯ドラマ劇場として今年4月にスタートした同作は、主人公の脚本家・菊村栄(石坂浩二)ら“テレビ人”たちが入居する老人ホーム「やすらぎの郷」での現代の人間模様、そして、菊村が綴るシナリオの中で昭和を生きる、根来しの(清野菜名)、根来公平(風間俊介)らの一代記「道」という二つの世界が絶妙なバランスで映し出され、好評を博している。

「道」パートでは今後、物語が“平成”に突入。橋爪功、風吹ジュンが主演のバトンを受け継いでいくが、「道」の第2章ともいえる“平成編”に、連続ドラマのレギュラー出演は約20年ぶりという柳生が登場。柳生が演じるのは、村のまとめ役ともいうべき存在の男・荒木の晩年だ。“昭和編”では気鋭の若手俳優・須森隆文が挑んだ役柄で、貧しさゆえに娘のおりんを、いわゆる“人買い”に売り戦時中は軍部にへつらい、どさくさに紛れて集落をまとめるポジションにおさまったこすい男。“平成編”では、やはり集落のいざこざを収める立場として登場し、橋爪演じる公平と関わっていく。

柳生は数々のテレビドラマや映画で活躍し、1981~93年に同系で放送されたクイズ番組「100万円クイズハンター」の名司会者としても人気を博したが、「大都会 闘いの日々」(日本テレビ系)や、70年代には東芝日曜劇場(TBS系)の枠で放送された数々の倉本作品(主に北海道放送制作作品)に出演。息子たちがいじめに遭ったことをきっかけに、70年代後半、山梨県北杜市に移住。八ヶ岳に雑木林を復活させる活動に尽力し、長年、“野鳥の会”の会長も務めてきた。その活動の多忙さから、長時間拘束されるドラマや映画は「ほとんどすべてオファーを断ってきた」とのこと。今回久々に連続ドラマ出演を決意したのは、かつて共にドラマ作りに携わった倉本氏との“運命の再会”が大きかったと打ち明ける。

今回の出演について、柳生は「2年前、庭仕事を終えて、夕方、2階のテラスに出たら、サングラス姿のアブナイ感じの男たちが『オイ、柳生ーっ!』って下から怒鳴るんですよ。てっきり“反社会的な方々”だと思って、『どちら様ですか』と対応したら、『オレだよ、倉本だよ!』って…(笑)」と振り返る。ちょうど「道」パートのシナリオハンティングのために、山梨県を訪れていた倉本氏との久々の再会で「その時、僕が『なぜ俺を(『やすらぎの郷』に)出さないんだ!』と倉本さんに言ったらしいんです。酔っていたから覚えていないのですが…(笑)」と苦笑しながらも、自ら“やすらぎ”入りをアピールしたことを告白。倉本氏はその時の発言をしっかり記憶しており、久々のタッグが実現した。

撮影は8月半ばからスタートしており、収録に挑んだ柳生は「機材などはすっかり新しくなっていますが、この現場は年上を敬う、昔ながらの伝統が息づいていて、まるでタイムスリップしたみたいでうれしかったですね」と久々の感覚を楽しみながら、“昭和編”から受け継いだ荒木のキャラクターを味わい深い演技で表現。また、「昔の日本はこうだったよなぁ、今の田舎はこうなんだよなぁ、とこんなにもリアルさを実感した作品は初めて!」と、あらためて倉本脚本の鋭い視点を絶賛。「僕にとって、この作品が最後のドラマ出演のつもりです。ぜひ“平成編”も多くの皆さんにご覧いただきたいですね」と力を込めて語った。

なお、“平成編”は11月にスタート予定。

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