残り1週間

 経済心理学に「選好の逆転」という言葉がある。よく説明に用いられるのは〈1年後に100ドル差し上げます。さらに1カ月先まで待てば110ドル差し上げます。どちらを選びますか〉という質問▲自然で有利な選択は1年1カ月後の110ドルだろう。ところが、これが〈あすと1カ月後〉の比較になると「あすの100ドル」が優勢…という傾向が表れるのだそうだ。ごく単純に要約すると、人は目先の利益に弱い…という話らしい▲では「1週間後の2%負担増」に対してはどう振る舞うのが経済学的には正解なのだろうか。「今がチャンス」と言われれば、そうだ急がなきゃ、と考える。高額商品はもちろん、まとめ買いすれば2%だって大きい▲でも、本当にそうか、と別の私の声がする…そんな消費者は多かろう。1万円分の買い物でおトク分は100円玉2個。そのための買い物に出掛ける時間は、買いだめした物を運んでくる労力は、物の置き場所は、と▲その後に期間限定で実施される「キャッシュレス決済のポイント還元」が消費行動をさらに難しくする。ああ、どうすれば、どう買えば▲来週の今ごろ、消費税は10%になっている。税の負担を損得勘定だけで考えてはいけないのは百も承知だが、それでも思いは乱れる。たかが2%、されど2%。(智)

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