十全化学 武田薬品研究拠点に入居 産学官連携で事業創出

十全化学がオフィスを構えた湘南ヘルスイノベーションパーク=神奈川県藤沢市

 原薬製造などの十全化学(富山市木場町、廣田大輔社長)は、武田薬品工業が設立した産学官連携などの研究拠点「湘南ヘルスイノベーションパーク」(神奈川県藤沢市)にオフィスを構えた。富山県の企業として初めてという。他に入居する大手医薬品や食品メーカー、ベンチャーなどとの協業を通じ新規事業や受注拡大につなげる。(経済部・池亀慶輔)

 十全化学東京支社から社員2人が定期的に施設の一室のオフィスに通っている。他企業の従業員と交流し、情報収集や連携に向けたアイデアを出し合う。既に製品開発などの具体的なプロジェクトが決まったという。

 同拠点は、武田薬品が湘南研究所を開放して昨年設立。同社をはじめ、田辺三菱製薬やキリンホールディングスなど約40社が入居する。鉄骨造10階建て延べ約30万8千平方メートル、敷地面積が約25万平方メートル。製薬企業の創薬ノウハウを生かして産学官連携を推進し、外部の知見を取り入れて技術革新につなげる「オープンイノベーション」の実現を目標とする。

 十全化学は、取引先の武田薬品から同拠点に参加する提案を受けた。医薬品業界を取り巻く環境の変化に対応していくため事業の在り方を模索する中、新たな事業展開の可能性が広がるとして入居を決めた。

 同社は、多様なバックボーンを持つ人材の確保にも力を入れる。事業環境の変化を乗り切るためにはさまざまな考え方や価値観が欠かせないとみるからだ。社員約260人のうち県外出身者は約3割いる。

 今年2月には新たな取締役に日産自動車出身の相馬正護氏(42)=さいたま市出身=が就いた。相馬氏は廣田社長(45)と早稲田大大学院の同じ研究室で共に学んだ間柄。昨年2月に廣田氏の招きに応じて入社した。廣田氏は「今までと違った目線で物事を見ることができる人材が重要になる」と話し、多様な人材の獲得に意欲を示した。

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