養豚早期出荷に補助金 豚コレラで県、感染リスク回避

 県は24日、豚コレラの感染を防ぐため養豚場を一時的に空にする「早期出荷」を希望する農家に、補助金を出す方針を明らかにした。県内の2農場が希望しており、できるだけ早期に実施する。追加分を見込んだ費用1億8千万円を県議会9月定例会に追加提案する予定で、一連の豚コレラ対策費は計約3億円に上る。

 予算特別委員会での武田慎一氏(自民)の質問に、石井隆一知事が方針を示した。知事は議会後、報道陣に「国の対応が遅れている。ワクチン接種とともに、できるだけ速やかに(早期出荷も)実施させたい」と述べた。

 早期出荷は、豚舎内の全ての豚を市場に出すか殺処分していったん空にする対策。その間の感染を避けられ、防疫強化に向けて豚舎を改修しやすくなる。国はリスクが高い地域の農家に実施を呼び掛けている。

 ただ、十分な大きさに育っていない状況で出荷するため、農家の売却による収入が減る。休業による損失が発生したり、貴重な種豚が失われたりするマイナス面もある。

 売却でのデメリットを補うため、農家が希望すれば、国は1頭につき3万9千円を上限に損失を半額補助している。県は国の補てん額と同額の補助金を出し、農家に負担が生じないようにする。殺処分の場合も、農家に損失がないよう補助金を出す。

 県農業技術課によると、豚コレラに感染したイノシシの発見場所から半径10キロ以内にある8農場に聞き取りした結果、2農場が希望した。2農場では計3千頭を飼育している。国は飼養豚への予防ワクチン接種を容認する方針を決めたが、県内での接種時期は不透明なため、今後さらに希望農場が増える可能性がある。

 早期出荷はこれまで養豚場で被害があった岐阜、愛知両県で行われたが、富山など未発生県ではない。

© 株式会社北日本新聞社