長崎県、地権者の説得継続 石木ダム 生活再建協議に意欲

 定例県議会の総務、文教厚生、農水経済、環境生活の4常任委員会が24日、始まった。環境生活委で県の岩見洋一土木部長は、県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り「(災害や渇水など)大変な思いをされた県民の気持ちにも耳を傾けてもらえるよう、地権者に寄り添って話し合いをしたい」と述べ、ダム建設に反対している地権者の説得を続ける姿勢を改めて示した。
 外間雅広委員(自民)の質問に答えた。
 石木ダムを巡っては今月、土地収用法に基づき住民13世帯の宅地を含む未買収地約12万平方メートルの権利を県と佐世保市が取得。物件を含む土地の明け渡し期限は11月18日になっている。
 外間委員は全国各地で災害が頻発している現状に触れ、ダムの必要性を強調。既に移転した人の気持ちも大切にするべきだと主張した。岩見部長は「住み慣れた土地を譲ることは大変なこと」と移転者の心情に理解を示し、生活再建に向けた話し合いに意欲を見せた。
 饗庭敦子委員(改革21)は、県と住民が互いに歩み寄る方策について質問。浦瀬俊郎河川課長は「将来について話し合う機会を得られれば、誠意を持って対応したい」と応じた。
 一方、坂本浩委員長(改革21)は強制測量や事業認定などの経緯に触れ「地権者に不信感が蓄積しているのではないか。県の言い分だけ説明しても円満な解決には結び付かない」と指摘した。

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