諫干元営農者 賠償請求 長崎地裁 国や県などを提訴

 国営諫早湾干拓事業の干拓農地の元営農者が24日、干拓農地の整備不良が原因で営農を継続できなかったとして、国、県、県農業振興公社を相手に400万円の損害賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こしたことを明らかにした。提訴は21日付。
 原告は干拓農地に入植していた匠集団おおぞら(南島原市、荒木隆太郎社長)と、元営農者の大崎吉重さん(64)=諫早市森山町=。2008年4月から干拓農地でジャガイモ、タマネギなどを栽培していたが、5年後に撤退した。訴状などによると、干拓農地の排水不良や冷害、熱害、環境保全型農業の制約で、撤退を余儀なくされ、多額の借金を抱えたと主張している。
 荒木社長と大崎さんは24日、県庁で記者会見し、「5年で出て行けと言われるなら多額の設備投資をしなかった」などと訴えた。別の損害賠償訴訟では営農する2法人が潮受け堤防の開門を求めているが、今回の原告は開門は求めないという。
 同公社などは取材に対し、「訴状が届いていないのでコメントできない」とした。

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