老人ホーム元職員、殺人と無断引き出し認める 横浜地裁

横浜地裁

 横須賀市の老人ホームで1月、入所者の女性が殺害された事件で、殺人と窃盗、器物損壊の罪に問われた施設の元職員の男(32)=同市武4丁目=の裁判員裁判の初公判が25日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。被告は、殺人罪と女性の口座から無断で現金を引き出したなどとされる2件の窃盗罪については「認めます」と述べ、起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、被告が女性の留守中に居室に忍び込み、たんす内から勝手にキャッシュカードを持ち出したと指摘。その後、殺害事件の前夜に現金の引き出しを女性にとがめられ、弁償を申し出て許しを求めたとした。しかし翌朝になって女性から別の職員に相談すると告げられたため、発覚を免れようと女性を殺害し、さらに女性の通帳を自身の事務机に隠したと経緯を説明した。

 弁護側は殺人と窃盗の罪を認める一方、通帳を机に隠して使用不能の状態にしたとされる器物損壊の罪については、「机に入れたのは被告ではない」として起訴内容を否認した。

 起訴状などによると、被告は1月24日、同市大矢部1丁目の「横須賀グリーンヒルケアハウス」3階の居室で、この部屋に住む女性=当時(89)=の首を背後から圧迫して殺害。昨年12月21日~今年1月19日には、女性のキャッシュカードを使って現金計125万円を盗んだ、などとされる。

 県警によると、被告は2015年10月から施設に勤務し、今年2月に解雇された。

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