介護報酬7億円不正受給 横浜市、施設運営団体を処分

横浜市役所

 横浜市は25日、介護報酬を不正に請求していたなどとして、介護保険法に基づき、同市旭区で「介護老人保健施設 希望の森」を運営する「医療法人社団 司命堂会」(同市戸塚区、笹沼鉄郎理事長)に対し、10月から1年間、新規利用者の受け入れを停止する処分を下した、と発表した。水増し請求額は総額約7億5千万円で、市は計約2億2千万円を返還請求する。

 市によると、司命堂会は2013年4月から18年7月までの間、利用者数に応じて医師1.4~1.5人を配置しなければならないにもかかわらず、常勤1人を置いたのみで、退職した医師を勤務しているかのように見せ掛けた勤務実績を提出。人員配置の基準を満たしていない場合に約3割減算される介護報酬を満額請求していた。

 18年5月、関係者から市への通報で発覚。市の聞き取りに対し、司命堂会は虚偽の資料を作成したことは認めつつ、「4~5人の医師に応援を依頼していたため、基準を満たしていると判断した」などと釈明。ただ市によると、応援の医師の勤務実態を示す資料などはなかった。

 水増し請求額のうち、約1億5千万円は返還請求の時効が過ぎている。市は17年6月から18年7月までの介護給付費(1億5558万8748円)に加算金(6223万5499円)を足した計2億1782万4247円を、10月11日までに返還するよう求めている。また14年7月から3年分の不適正請求分(約4億5千万円)についても自主返納を求めていく方針。

 処分発表を受け、司命堂会は「当方の主張が市に認めてもらえなかったのは残念だが、処分には従う。利用者がこれまでと同じ暮らしが送れるよう、職員一丸となって対応する」とのコメントを出した。

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