産婦人科がない平戸 母子保健コーディネーター・冨嶋さん 心と体をサポート

出産を控えた女性(左)にアドバイスをする冨嶋さん=平戸市役所

 産婦人科がない長崎県平戸市で不安を抱える妊婦や母親らのため、市の母子保健コーディネーター、冨嶋美幸さん(39)が、妊娠から幼少期の子育てまで切れ目のない支援に努めている。助産師の資格を持つ冨嶋さんは、役所内での面談や、助産師、保健師と連携した家庭訪問などで母親らの心と体のサポートに取り組む。
 市内には、助産師でつくる有志の会があるが会員はそれぞれ本業を抱え、産前、産後のサポートまで十分な機能を果たせない。一方、妊婦は市内に専門医がおらず多くは車で30分~1時間かかる北松佐々町や佐世保市などへ通院を余儀なくされている。そこで市は、妊娠から子育て期までの切れ目のない支援を担う独自のコーディネーターを2018年度に配置した。
 病院の産科に勤務経験がある冨嶋さん。産前は適度な運動など生活リズムを中心とした過ごし方、産後はホルモンの影響や忙しい育児でバランスを崩さないような心の持ち方を助言する。「多くはささいな悩みと思い、受診をためらう傾向にある」という。妊産婦によっては栄養士、保健師も面談などに立ち会う。
 26日は、4人目の出産を控え初めて面談に訪れた市内の看護師、宮川育海さん(31)に、就労中の妊婦には休憩時間の延長や勤務制限の申し出ができる国の制度があることなどを伝えた。宮川さんは「4人目でも知らないことがあり、体調に合わせ制度を活用したい」と話した。
 市は「皆で出産、育児を支える体制を構築したい。小さなことでも1人で悩まず相談を」と呼び掛けている。問い合わせは市こども未来課母子保健班(電0950.22.4111)。

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