平塚市議が個人情報持ち出し 市長が会派を批判

個人情報を持ち出した渡部市議を会派に加えた「しらさぎ・無所属クラブ」に異例の批判をした落合市長=平塚市役所

 平塚市議の渡部亮氏(40)が市職員時代に市民の個人情報を持ち出したとされる問題で、落合克宏市長は26日の定例会見で、渡部氏をメンバーに加えた市議会第2会派「しらさぎ・無所属クラブ」に対して、「(渡部氏を)擁護しているような状況。議会人としていかがなものか」と批判した。市関係者によると、市長が議会の特定の会派を強い言葉で批判するのは異例という。

 25日の市議会本会議でセキュリティー管理の責任を取る形で落合市長の給与を3カ月間、1割削減する議案が可決した。同日の議会運営委員会などで同会派から「給与の削減率が低い。身内に甘くパフォーマンスでしかない」と批判の声が上がったことに対し、市長は「当の本人を会派に取り込んでいる」と不信感を示した。

 また、渡部氏に対しては「責任の重さを自ら感じてほしい。市民への説明責任も何ら果たしていない」と改めて糾弾した。渡部氏に対する損害賠償額については200万円以上となる見通しを示した。個人情報が持ち出された疑いのある2万人以上におわび状を送付しており、印刷代や人件費などを計上するという。

 また、市個人情報保護条例違反で県警に近く告発するとし、「告発状の文言について調整している状況」と述べた。市幹部は「刑事処分の流れを見ながら民事訴訟の手続きに入りたい」と説明した。

 同会派は渡部氏の問題が発覚し、市議会が辞職勧告決議を可決した後の今月9日に結成。勧告決議に反対した無所属議員と渡部氏の計6人で構成され、議会内では第2勢力となった。金子修一団長はこれまで「渡部氏をかばうためではない。議会改革をするのが目的」と説明している。

 同会派は落合市長に対立的な保守派やリベラル派の議員が所属しており、市長らの給与削減については退席した渡部氏を除く5人全員が賛成した。

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