大阪市鶴見区の大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線横堤駅前にあるパン屋さん「Dank Brot(ダンクブロート)」は、90種類以上の品ぞろえとリーズナブルな価格で販売されており、幅広い世代に人気のお店です。
そんな街でも親しまれる地元の人気店ダンクブロートが2019年7月から「社会貢献を目指した食パン」の販売をスタートしました。
味や食感はもちろんのこと、主原料である小麦粉や販売方法、労働時間や途上国にも配慮した「SDGs食パン」として注目されています。
■なぜ”SDGs食パン”と呼ばれるのか
通称”SDGs食パン”と呼ばれる「三宝」はNPO法人「みらくる」から提案され始まった企画で、約2ヶ月かけて発明された食パンです。
2019年7月28日に第一回販売日が行われ、以降9月より毎月第一月曜日に販売されいてます。1本(2斤)は800円+税金、完全予約制となっており、各日限定200本販売の気象な食パンです。
販売早々に新聞などメディアに多く取り上げられ、大変注目を浴びています。
また購入時、マイバック・エコバックを持参すると10円引きで購入することができます。
なぜ、SDGs食パンと呼ばれているのか。
それは、3つの製造、販売システムに理由があります。
- SDGs食パン”三宝”を1本購入すると、発展途上国の子どもたちに給食1食分が提供される。
- 1日200本の製造・販売と食パンの作る量を決めることで社員の労働を守る。
- 決めた生産量を守ることによって食品ロスを0にする。
この3つの取り決めを守ることにより、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「12.つくる責任つかう責任」を達成しています。また小麦の仕入れを制限でき無駄を排除できることから「13.気候変動に具体的な対策を」が、毎月第一月曜日に三宝のみを200本販売限定することから、社員の労働過多を防止でき「8.働きがいも経済成長も」が達成できるといえます。
■消費者も参加できるーSDGs食パン”三宝”購入で途上国に給食1食分を支援
※イメージ図
SDGs食パンの取り組みは”消費者”もSDGs取り組みに参加できるシステムとなっています。
このSDGs食パン”三宝”を購入することにより、NPO法人を通じて発展途上国に給食1食分が寄付される仕組みになっています。
製造・販売の仕組みだけではなく、消費者が誰でも参加できるという点から、SDGsへ取り組みができているといえます。
■幸せになるパン”SDG食パン”に込められたダンクブロートの想い
※イメージ図
通称”SDGs食パン”と呼ばれる「三宝」の名前には次のような想いが込められています。
- 1つ、お客様に史上最高の味のパンを
- 1つ、社会を良い方向に変えるパンを
- 1つ、自分たちも幸せになれるパンを
「Dank Brot(ダンクブロート)」のブログには、このような活動がほかのパン屋さんにも広がってほしい、飢餓で苦しむ子どもをゼロにしたいという願いも綴られています。
■労働18時間…日本のパン屋労働問題、ヨーロッパモデルに学ぶべき仕組み
パン屋、というと香ばしい匂いが広がり、美味しいパンが並ぶという風景が頭に浮かびますが、労働時間数を見ると非常にハードな環境です。
夜10時よりパンのタネ作りを開始し夕方まで労働、という条件は珍しくありません。
しかしパン大国と言えるヨーロッパ諸国のパン屋は意外と労働時間が短いことを、実はあまり知られていません。
オーストリアのとあるパン屋では、朝8時に作業を開始し昼の12時には仕事が終了、それなのにパンは良く売れて廃棄も少ないというホワイト企業の仕組みができています。
なぜこんなにも労働時間が違うのでしょうか。
日本では販売する日から逆算して当日に生地を作りますが、オーストリアのパン屋では前日に生地を計量し、捏ねて冷蔵発酵。二次発酵はせず、翌朝は焼くだけという非常に短時間で商品化することに成功しています。
日本のパン製造方法に比べれば手抜き印象もあり、美味しさに欠けるのではという意見もますが、そのパンの味は絶品だと評判。良質な材料と種菌があれば短時間でも美味しいパンが作れることが証明されています。
そんなオーストリア方式をモデルにしたパン屋が広島県にあります。
67年前より続くBoulangerie deRien(ブーランジェリー・ドリアン)のオーナーオーナーの田村陽至さんは、オーストリア方式に衝撃を受けた一人でもあります。
オーストリア方式の仕組みを勉強した後、3代前より続いていた1日18時間労働システムを一変させ、材料の小麦を国産の有機小麦と良質なものに変更、日本ではまだ珍しい薪窯製法を導入しました、
安くて美味しいものを提供し続けいくためには労力を減らすことも必要不可欠といい、無理せず続けていける働き方を開拓しています。
世界中でSDGs対策や環境問題に対しての意見が強く交わされている近年、このように取り組みがどんどん広まり一般消費者の意識概念も更新されていく日も遠くないのかもしれません。