「再編対象」の県内5病院 反発「改革に冷や水」 国の認識と食い違い

 「冷や水を浴びせられた気分」「機械的な線引きだ」。26日、厚生労働省が再編の検討対象として県内5病院を挙げたことに、現場で戸惑いが広がった。2017年度の診療実績などを根拠とした「名指し」に、病床削減などの改革に踏み切ったばかりの病院は反発。国側の認識と現場の実情との食い違いが浮き彫りとなった。

 あさひ総合病院(朝日町泊)は、がんや脳卒中、心疾患などの診療実績が軒並み乏しいとの評価から再編対象となった。

 ただ、今年4月から従来の199床を109床に削減する中で、手術などが必要な急性期医療の機能を見直しつつ、症状が安定した回復期の患者にリハビリなどを行う「地域包括ケア病棟」を新設。高齢化の進展を見据え、在宅復帰支援の機能を高めた。

 国の方針とも合致する改革を進めてきただけに、東山考一院長は「非常に違和感があり、冷や水を浴びせられたような気分」と反発。「直近の実績を考慮し、実情に即した評価をしてほしい」と求めた。「新たな船出」から半年というタイミングの悪さにも触れ、「職員のやる気低下や地元住民の動揺につながりかねない」と危惧する。

 かみいち総合病院(上市町法音寺)は車で20分以内の場所に競合病院があるとして、再編対象に。中川行孝町長は「周辺部にある小規模病院が切り捨てられるとすれば大変な問題」と不満を示した。

 富山医療圏で大病院と競合する厚生連滑川病院(滑川市常盤町)も、診療実績が上がっていないと厳しい評価を受けた。ただ、救急は日々受け入れ、地域での役割は大きい。財政支援を続ける上田昌孝市長は「なくなることがないよう国や県に働き掛ける」とした。

 高岡医療圏で同様の事情を抱えるJCHO高岡ふしき病院(高岡市伏木古府元町)は、急性期を脱した患者のケアを主に担っていることから、「(大病院とは)明確に役割が異なる」と主張。一律の基準での評価に疑問を投げ掛けた。

 県リハビリテーション病院・こども支援センター(富山市下飯野)は、そもそも障害児医療やリハビリを重点としており、県医務課は一般病院と同列に評価されることへの違和感を示した。

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