母体・胎児集中治療室が完成 10月から総合周産期母子医療センター稼働 長崎大病院

完成した母体・胎児集中治療室について説明する三浦教授(右から2人目)ら=長崎市、長崎大学病院

 長崎大学病院(長崎市坂本1丁目)に、早産などリスクの高い妊婦や胎児に対応できる母体・胎児集中治療室(MFICU)6床が完成し、27日に内覧会が開かれた。すでに増床された新生児集中治療室(NICU)などと併せて、10月から、妊婦や胎児、新生児に高度な医療が提供できる「総合周産期母子医療センター」として稼働する。
 同センターは長崎医療センター(長崎県大村市)に続いて県内で2カ所目。25日に県から指定を受けた。3月から稼働するNICU12床なども備える。センター開設のための改修工事は2018年に始まり、総事業費は約10億4700万円に上る。
 完成したMFICUでは母子共にリスクが高い出産が予想される際、母親を妊娠段階で受け入れる。最も安全な状態で出産できるように、妊婦の血圧や心電図、胎児の心拍数などを測定する装置が各室にある。
 同病院によると、本県は出産前後の周産期医療に対応できる病床や医師が乏しい。近年、妊婦の高齢化が進んだことから、妊婦や赤ちゃんにとってリスクが高い出産の割合が増える傾向にある。長崎市近郊でも近くの病床に空きがない場合は、他の病院や県外に搬送するケースもあった。
 MFICU責任者の長崎大学病院産科婦人科の三浦清徳教授は「センターは周産期医療の最後のとりで。近くの病院で高度な医療が受けられ、安心してお産ができるようになる。周産期医療に携わる医師を育てて県内の医療機関に派遣していきたい」と語った。この日、センター指定を記念する式典も開かれた。

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