巨人坂本勇はNPB屈指の「打てるショート」 残り1試合で“遊撃手最多本塁打”なるか?

巨人・坂本勇人【写真:Getty Images】

遊撃最多本塁打は1985年の中日宇野がマークした41本塁打

 巨人、坂本勇人は9月27日のDeNA戦の4回、左翼にソロホームランを打った。これが今季40号。遊撃手が40本塁打を打つのは、NPBでは史上2人目だ。

 遊撃手は内野手では最も守備範囲が広く、送球の距離も長い。それだけに高い守備力が求められる。守備が優先されるポジションだといえよう。打者としては俊敏性を買われて上位を打つことも多い。遊撃手のスラッガーは、他のポジションに比べて少ない。

 NPBで30本塁打以上した遊撃手(出場試合の過半数を遊撃手として出場)。※は9月27日現在。試合は遊撃手としての出場試合数。

41本 宇野勝(中日)1985年 /130試合
40本 坂本勇人(巨人)2019年 /140試合※
37本 宇野勝(中日)1984年 /130試合
36本 松井稼頭央(西武)2002年 /139試合
34本 池山隆寛(ヤクルト)1989年 /128試合
33本 松井稼頭央(西武)2003年 /137試合
32本 池山隆寛(ヤクルト)1991年 /132試合
32本 野村謙二郎(広島)1995年 /131試合
31本 池山隆寛(ヤクルト)1988年 /130試合
31本 池山隆寛(ヤクルト)1990年 /130試合
31本 坂本勇人(巨人)2010年 /144試合
30本 宇野勝(中日)1982年 /124試合
30本 宇野勝(中日)1987年 /130試合
30本 池山隆寛(ヤクルト)1992年 /126試合

 中日の宇野勝は、1982年に遊撃手として初めて30本塁打。以後、1984年には37本塁打で本塁打王のタイトルを掛布雅之(阪神)とともに獲得。その翌年に41本塁打を記録した。遊撃手の本塁打王は、1944年の金山次郎(産業 3本)と1984年の宇野だけだ。

「打てる遊撃手」は、この宇野を始め、池山隆寛、松井稼頭央、野村謙二郎と顔ぶれが限られている。坂本勇人も2010年に31本塁打を打っていたが、今年は34年ぶりに40本の大台に乗せた。

メジャーではAロッドが57本塁打をマーク

 MLBではシーズン40本塁打以上を打った遊撃手はのべ12人いる。

57本 A・ロドリゲス(レンジャーズ)2002年 /162試合
52本 A・ロドリゲス(レンジャーズ)2001年 /161試合
47本 E・バンクス(カブス)1958年 /154試合
47本 A・ロドリゲス(レンジャーズ)2003年 /158試合
45本 E・バンクス(カブス)1959年 /154試合
44本 E・バンクス(カブス)1955年 /154試合
43本 E・バンクス(カブス)1957年 /100試合
42本 A・ロドリゲス(マリナーズ)1999年 /129試合
42本 A・ロドリゲス(マリナーズ)1998年 /160試合
41本 E・バンクス(カブス)1960年 /156試合
41本 A・ロドリゲス(マリナーズ)2000年 /148試合
40本 R・ペトロセリ(レッドソックス)1969年 /153試合

 メジャーの打てる遊撃手と言えば、カブスのアーニー・バンクスが代表的だったが、A-RODことアレックス・ロドリゲスがバンクスの作った本塁打記録を次々と塗り替えた。A-RODは、2004年にヤンキースに移籍するとデレク・ジーターにポジションを譲って三塁手になったが、史上最強の遊撃手だったといえよう。

 なお、ヤンキースのグレイバー・トーレスは今季、出場142試合のうち76試合で遊撃を守り、38本塁打。ヤンキースはあと3試合残っているので、4人目の40本塁打遊撃手になる可能性がある。

 また、NPBの遊撃手での100打点は、以下の2例だけ。

104打点 鳥谷敬(阪神)2010年 /144試合
100打点 中島裕之(西武)2011年 /144試合

 遊撃手の打点王は、1958年の葛城隆雄(大毎85打点)、1995年の田中幸雄(日本ハム80打点)の2人だけだ。巨人はあと1試合残っている。本塁打はソト(DeNA)と3差、打点(94打点)は同じくソトと14差なので、タイトル獲得は難しそうだが、宇野勝の遊撃手としての最多本塁打記録を更新する可能性が残っている。今季はMVP候補の評判も高いが、あと1試合、頑張ってほしいものだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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