エースの出来が左右 総評

 優勝した高岡向陵は、ほぼ一人で5試合を投げきったエース宝里の活躍が光った。宝里の力投に引っ張られるように、野手陣が調子を上げてつかんだ初の栄冠と言えるだろう。

 準優勝の高岡商は今夏の甲子園を経験した藤井、鈴木、石黒の3人が攻守で中心を担った。投手、野手ともに選手層が厚く、控え選手の活躍も強さを際立たせた。

 3位の高岡第一は田中、佐伯の好右腕2人を擁し、投手力は随一だった。打線が接戦で力を発揮できれば、北信越でも勝ち進むことが期待できる。初めて4強入りした創部2年目の未来富山は打線に力があり、投手陣の成長次第では頂点も狙えるチームとなった。

 今大会は全て土、日曜に実施された。シード校にとっては連戦が少なく、試合間隔が空いたため、好投手が1人いれば勝ち上がりやすい日程だった。高岡向陵の宝里が良い例だ。ただ、好投手を擁しながら8強入りを逃したチームも多かった。桜井の野村や砺波工の黒田、水橋の寺松、国際大付の東、氷見の山田ら今夏大会も経験した投手は、悔しさをばねにして、さらに成長してもらいたい。

 野村や黒田を終盤に攻略した富山工と、富山商の岩城を打ち崩した高岡南は、総合力で8強入りする快進撃を見せ、大会を盛り上げた。

 大会中の記事でも多く取り上げたが、1年生の魅力的な打者が目立った。甲子園でも活躍した高岡商の石黒や2本塁打を放った未来富山の渡邊、フルスイングが持ち味の新川の中川らは、技術の高さを感じさせ、今後が楽しみだ。

 各校の課題として挙げられるのは、選手の体の小ささや線の細さだ。小柄な選手でもプレー速度を上げるために筋力アップは不可欠。今夏の甲子園で準優勝し、秋の石川県大会を制した星稜ナインは、誰もが太ももががっしりしていた。ミスを減らすよう練習に励むことに加え、よりスケールの大きな選手を目指して冬場のトレーニングに取り組み、食事にも気を配ってほしい。(石黒)

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