もしガス欠しちゃったらどうなるの?|意外と知らないクルマのジョーシキ【Vol.2】

ガソリン給油

冷や汗&あぶら汗...ガス欠の恐怖

今、このコラムを読んでくれている方で、ガス欠の経験者はどのくらいいるだろう? そこまではなくても、本気でガス欠寸前で冷や汗をかいた方は、けっこう多いのではないかと思う。

JAFのウェブサイトで、2018年度のロードサービスの救済依頼内容を見ると、ガス欠は高速道路では第2位で一般道では7位。高速道路での順位が高いのは、高速道路上では給油施設があるのがサービスエリアに限られてしまうからだ。資料をもっとも遡れる2002年まで見ても、この順位はほぼ変わっていないようで、やはりガス欠はクルマのトラブルの大定番といえる。

もちろん、ガス欠は事故ではない。ガス欠になっただけでは、誰かがケガをするわけではないし、クルマが壊れるわけでもない。

ガス欠状態でエンジンに燃料が行かなくなると、アクセルを踏んでもエンジン回転が上がらなくなり、そのままエンジンが止まってしまう。ハンドルやブレーキが効かなくなることもなく、「あ~!マズい」と思う間にどんどんスピードが落ちて、ただクルマが止まってしまうだけだ。

とはいえ、ドライバーの判断ミスが招いたトラブルという点では事故と変わらないわけで、やはりそこには危険が存在する。ガス欠で問題なのは、むしろ止まってからなのだ。

まずすべきことは安全の確保

※画像はイメージです

ガス欠後の処置でまずすべきことは、クルマの止まった場所での安全確保だ。

一般道路なら、ハザードを出して路肩に停めるのが基本。なるべく道幅の広いところに停めて、JAFや自動車保険のロードサービスなどに連絡して到着を待つ。すぐ近くにガソリンスタンドがあるなら、燃料をを届けてくれるようお願いしてみるのもテだろう。

止まったのが高速道路なら、1.ハザードを出して路肩に停め→2.発煙筒を点け三角表示板を出して→3.乗員は安全な場所へ避難。4.ロードサービスに救助を依頼するのが正解だ。路肩に逃げ場がなく交通量が多いなど、危険度の高さによってはまず警察に連絡するべきだろう。

ちなみに、高速道路でのガス欠停車は違反行為で、2点の減点に普通車は9000円の罰金だ。故障で止まってしまうのは予想のつかないことだが、燃料がなくなるのは十分に予想できること。だから、意図的な迷惑行為に通じるという解釈になるのだろう。TVなどでよく報道されているように、故障やガス欠で止まっていたクルマに後続車が突っ込む事故は、決して珍しいことではない。高速道路上でクルマを停めるのは、物凄く危険なことだと認識してほしい。

ガス欠したディーゼル車は要注意!

フォルクスワーゲン Passat Variant TDI 給油口

さて、ロードサービスが来てくれれば、ようやくひと安心だ。燃料を入れてエンジンをかけ、しっかり回っていることを確認してもらったら、あとはクルマの流れに気をつけながら発進するだけだ。

ただし、ディーゼル車はエンジン始動時に気をつけたい。高圧をかけて燃料を噴射するディーゼルエンジンは、燃料ポンプも燃料ラインも、かかる圧がガソリンエンジンよりも格段に大きい。それで、一度燃料が切れてしまうと、次に給油したときにラインに空気が入ってしまうのだ。だから、ガソリンエンジンのように、セルモーターを回しているうちに燃料が来るようなことはなく、エア抜きが必要になる。エア抜きは一般ドライバーでもできるが、確実な復帰やエンジンのチェックまで考えると、やはりプロにお願いするのがベストだと思う。ディーゼル車はガス欠厳禁といわれるのは、そういう理由からなのだ。

ガス欠は、急いでいるときほど起こりやすいものだ。クルマのエンジンをかけたとき、燃料警告灯が赤や黄色に灯っていたなら、まずガソリンスタンドが最優先の行き先だと思ってほしい。

[筆者:永田 トモオ]

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