重力波望遠鏡「かぐら」公開 神岡、年内に本格稼働

長さ3キロの真空ダクト2本が直角でつながる中央実験室=飛騨市神岡町跡津川

 宇宙から届く「重力波」を観測する大型望遠鏡「かぐら」が富山、岐阜県境に近い同県飛騨市神岡町の神岡鉱山地下に完成し、東京大宇宙線研究所が30日、施設内部を報道陣に公開した。年内に本格稼働し、ブラックホール同士が合体した際などに生じる重力波の観測を目指す。米国や欧州の重力波望遠鏡と共同観測も行い、宇宙誕生の謎に迫る。

 ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章さん(60)=自宅・富山市=が所長を務める同研究所が中心となり、2010年に建設を開始。今年6月に完成した。富山大も部品の設置などで協力した。

 重力波望遠鏡としては世界で4基目と後発だが、性能を生かせば世界で成功例のない超新星爆発の初観測も狙える。かぐら施設長の大橋正健同研究所教授(60)は「ぜひ挑戦したい。新しい発見があればノーベル賞受賞もありうる」と快挙達成に照準を合わせた。

 重力波とは、物体が動いたときに生じた空間のゆがみが、さざ波のように伝わる現象。かぐらは一辺が長さ3キロのL字形の真空パイプのトンネルで、レーザー光を往復させる。重力波で空間がゆがんでいれば、光の到達時間に差が生じるという。重力波望遠鏡同士や光を見る従来の望遠鏡が協力すれば、より多面的に宇宙の構造を解明できると期待される。

トンネルに設置された長さ3キロの真空ダクト
かぐらを使った観測の抱負を語る大橋施設長

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