関電・イワネ社長

 「奇跡とは言わせないっ」-少し気が早いが「流行語大賞」の有力候補だろう。週が明けても興奮の熱が冷めない。ラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表が優勝候補の一角アイルランドを見事に負かした大金星▲ところで、意地の悪い筆者は、この快挙を別の意味で歓迎していそうな人々の姿をつい想像してしまう。巨額の「原発マネー還流疑惑」に揺れる関西電力の首脳陣である▲新聞の紙面もテレビのニュース枠も有限だ。ひょっとして彼ら、虫のいいことを考えていまいか。ああ、ラグビーがこのまま世の中の関心を独占し続けてくれたら…などと。だが、それは大きな心得違い。世間は依然、厳しい疑念の目を関電に向けている▲のらりくらりと核心をぼかし続けた岩根茂樹社長の記者会見。夜の編集局で「詳細語らず」と見出しの付いた社会面を見ながら思いつきをうっかり口に出してしまった。「そもそもこの人、名前が『いわねえ』だもんね」▲はあ、何ですかそれ、と優しい同僚たちは軽く笑って聞き流してくれたが、不出来な駄じゃれと違って、言ったそばから矛盾やほころびが次々に表面化している社長の説明は聞き流すわけにはいかない▲あす再度の会見に臨むという。包み隠さず全部正直に言わんね-の声、イワネ氏に届いているか。(智)

© 株式会社長崎新聞社