東京モーターショー2019目前、発売できたら勢力図が変わっていたかもしれないコンセプトカーを振り返る!

もしあのコンセプトカー達が世に出ていたら・・・

間もなく開幕する第46回東京モーターショー。出展社数の減少などネガティブな話題もないわけではないが、やはり未来のコンセプトカーなどが一堂に会す2年に1度の大イベントということで、心待ちにしている人も少なくないハズ。

しかしコンセプトカーと一口に言っても、発売目前まで来ているものもあれば、完全なハリボテでどう見ても夢物語のようなモデルまでさまざま。そんな過去に登場したコンセプトカーの中から、個人的に発売されていたらいろいろ変わっていたかも……と思わせてくれたモデルをピックアップしたい。

トヨタ S-FR

東京モーターショー2015で発表された、トヨタの小型FRスポーツのS-FR
東京モーターショー2015で発表された、トヨタの小型FRスポーツのS-FR
東京モーターショー2015で発表された、トヨタの小型FRスポーツのS-FR

2015年の東京モーターショーで発表された、トヨタの小型FRスポーツのS-FR。5ナンバーサイズのボディにエンジンをフロンドミッドシップに搭載し後輪を駆動。ルーフ部分はグラストップとなっており、現代版ヨタハチとも評された。

翌2016年の東京オートサロンではS-FRのレーシングコンセプトも発表され、市販化に期待が集まったが、その後の情報はパッタリ途絶えてしまった。2017年に発売されたゲーム「グランツーリスモSPORT」には同車が収録され、1.5リッターで135PS/15.3kgf・mの車両重量1050kgというスペックとなっていたが、真相は未だに闇の中である。

日産 IDx

東京モーターショー2013で出展されたIDx Freeflow(アイディーエックスフリーフロー)
東京モーターショー2013で出展されたIDx NISMO(アイディーエックス ニスモ)

2013年の東京モーターショー、日産ブースの目玉となったのが、シンプルでカジュアルなライフスタイルに焦点を置いた「IDx フリーフロー」と、それとは対照的な、ドライビングシミュレーターから飛び出してきたような、スポーティモデルの可能性を示した「IDx ニスモ」の2台だった。

特にニスモは往年の510ブルーバード時代のBREカラーを彷彿とさせるカラーリングが施され、その後のデトロイトショーでは当時の日産のファミリーフェイスに近づけるという、コンセプトカーとしては異例のマイナーチェンジまで行っていた。しかしこちらもモーターショー後の情報はなく、日産のスポーツカーは未だに10年選手のフェアレディZとGT-Rという惨状だ。

スズキ LC

東京モーターショー2005で出展されたスズキ LC
東京モーターショー2005で出展されたスズキ LC

軽自動車はガマンして乗るものではなく、パーソナルな空間を楽しむものという時代になりつつある現代だからこそ登場してもらいたいと思えるのが2005年の東京モーターショーに登場したスズキ・LCだ。360ccエンジンを搭載していた頃のフロンテの型式であるLCを冠したこのコンセプトカーは、軽自動車枠よりも小さいボディに2名分のシートを備えたまさにシティコミューター。

エクステリアは2代目フロンテのデザインを踏襲した愛嬌のあるクラシカルなもので、もしかしたら同年に販売を終了したツインの後継車種となっていたモデルかもしれない。なお、エンジンはリアではなくフロントに搭載され、リアのエアダクトのような部分は給油口と言われていた。

ダイハツ マッドマスターC

東京モーターショー2007で出展されたダイハツ マッドマスターC
東京モーターショー2007で出展されたダイハツ マッドマスターC

基本的には働くクルマでありながら、アクティブなユーザーにも愛用されている軽バン。最近では「アゲ系」と称してリフトアップし、走破性を高めるカスタムも人気となっているが、2007年の東京モーターショーにはそんなコンセプトのモデルが登場していた。それがダイハツのマッドマスターCである。

サイズは全幅こそ軽自動車枠を超える1600mmとなっていたが、搭載エンジンは660ccの3気筒エンジンが想定されており、本格的なオフロード走行も可能とするハブリダクション式4輪駆動を採用しているとアナウンスされていた。現在販売中のハイゼットバンは2004年に登場したものがベースとなっているが、新型ハイゼットがこれだったら欲しい、という人も多いのではないだろうか。

これ以外にも多くの魅力的なコンセプトカーが、登場しながら表舞台に現れることなく消えていった。とはいえ、そんなコンセプトカーが登場したときのワクワク感は計り知れないものがあったのもまた事実。最近は環境や自動運転に関連したコンセプトカーが多くなってきているが、市販する、しないは置いておいて、純粋に心がときめくようなコンセプトカーが登場することを期待したいところだ。

[筆者:小鮒 康一]

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