諏訪にきらめけ! くんち新世代・1 今博多町・本踊 高田希和さん「一目で鶴と分かるように」

「一目で鶴と分かるように表現したい」と意気込む高田さん(中央)=長崎市、八坂神社

 諏訪神社(長崎市上西山町)の秋の大祭、長崎くんちが7日、開幕する。今年は今博多町、魚の町、玉園町、江戸町、籠町の五カ町が演(だ)し物を披露する。令和初のくんちを舞台に、新時代にきらりと輝く若者たちの姿を紹介する。

 江戸時代前期まで花街だった今博多町は、遊女が多かったため、奉納踊りの起源になったという。「鶴の港」と呼ばれる長崎港にちなみ、くんちを祝うために飛来した6羽の鶴を表現した「今日爰祭祝鶴舞(きょうここにまつりをいわうつるのまい)」を奉納する。
 活水女子大1年の高田希和さん(19)は6人の踊り子で最年少。生後すぐに五島市から長崎市南山手町に移り住んだ。小学2年時から日本舞踊の花柳流を学び始めた関係で、2010年には馬町の本踊(ほんおどり)に「わらべ連」として出演するなど、くんちを身近に感じて育った。
 高校卒業後は栄養学を学びたいと思い県外進学も考えたが、くんちに出演するために市内の大学を選んだ。ある日、大学の友人とくんちについて話していると「くんちって出店があるんでしょ?」と言われてショックを受けた。
 くんちの歴史や伝統を知らない若者にとって、くんちとは「にぎわいを楽しむ」感覚なのだ。だから、自分のような若い世代が出演することで「くんちイコール出店」というイメージを払拭(ふっしょく)したい。「自分と同世代の人たちに少しでもくんちや日本舞踊を知ってもらいたい」と考えている。
 本踊の見どころは、白い翼を持つ6羽の鶴がしなやかに身体を反らし、伸びやかに羽ばたく場面。「一目で鶴と分かるように表現したい」と練習に打ち込む。伝統を守る覚悟を胸に、かれんな鶴と化して諏訪の森に舞い降りる。

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