家と車に大金を費やしたら、子ども4人の教育費が足りるか不安に

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、共働きでコツコツと貯蓄を増やしてきた40代夫婦。ここ最近、立て続けに住宅や車の購入に大金を費やしてしまい、この先お金が足りるのか不安になってきたといいます。家計再生コンサルタント横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。

結婚してからの18年間、産休や育休の期間以外はずっと正社員として働いてきました。収入が2人分あるにもかかわらず節約を意識し切り詰めて、お金をかなり貯めてきました。

この度気に入った物件があったことと、子どもも中2、中1、小4、小2と大きくなり、生活も落ち着いてきたため、4000万円程のマンションを購入しました。頭金に2000万円を入れ、残りは住宅ローンを組んでいます。そのほか、500万円ほどの車を現金一括で購入したりして、今の貯蓄の残りは2000万円ほどです。

その時は「がんばって貯めてきたし」「すごくほしいと思えたから」と、いろいろ理由をつけて購入しましたが、お金を払った後となる今、子どものお金が足りるのかと不安になっています。

夫の会社は業績が悪くなり、夏のボーナスが40%もカットになりました。今の収入が保てない可能性も十分にあると感じ、今後の生活を不安に思っています。投資もしてはいるのですが、上手くいっているとはいえず、思うような運用ができていません。どうすると上手な投資、上手な運用ができるのかを教えてください。また、住宅ローンの繰り上げ返済もどのようにするとよいのか知りたいです。

〈相談者プロフィール〉

・女性、43歳、既婚(夫:44歳、会社員)

・職業:会社員

・子ども4人:長女(中2)次女(中1)長男(小4)三女(小2)

・毎月の手取り金額:58.8万円

(夫:26.4万円、妻:32.4万円)

・年間の手取りボーナス額:250万円

(夫:150万円、妻:100万円)

【資産状況】

・普通預金:500万円

・定期預金:1500万円

・投資信託:40万円

【支出の内訳(48.1万円)】

・住居費:12万円(住宅ローン)

・水道光熱費:2.1万円

・食費:14万円(外食代含む)

・通信費:3.2万円(スマホ4台、固定電話、ネット回線)

・交際費:2.9万円

・被服費:3.2万円

・娯楽費:1.2万円

・交通費:1万円

・小遣い:5万円

・その他:3.5万円


FP:ご相談ありがとうございます。マイエフピーのファイナンシャルプランナー、関口です。貯蓄は随分順調だったのですね。住居購入に2000万円の頭金を入れられたことは、立派です。

では、大金を使ってしまった後の将来について、考えていってみましょう。

「収入ダウン+子どもの成長」を見据えて、家計をもう少し引き締めて

住宅購入までに数千万円貯められたということ、素晴らしいと思います。頭金をしっかり入れて住宅を購入することは、後の返済負担を軽くできる堅実な購入の仕方です。

そして、ここで収入減となる兆しが出てきたということですが、以前と比べて、現在の支出の状況はいかがでしょうか。お子さんが大きくなってくると、住宅の規模も違うでしょうし、小さいころとは違う部分でお金がかかるようになってきます。だんだんと支出の把握が難しくなってきてはいないでしょうか。

毎月の支出金額を拝見すると、支出がちょっと多すぎるのではないかと思えるものがいくつかあります。今も毎月10万円近く貯金にまわせているようですので、安心感もあるのでしょうが、今後の資金が不安だと思うのであれば、少し引き締めていきたいところです。

気になる支出は、食費と通信費。お子さん4人が食べ盛りということもあるのでしょうが、6人家族ということを考えても、月に10万円を超えると支出が多いと言えます。何か特別なこだわり(アレルギー除去食など)があればまた別かもしれませんが、今一度食費のかけ方を見直してみましょう。

食費は毎日財布から出ていく支出です。気持ち次第では、多くも、ある程度少なくもできるもの。1週間ずつ予算を作って管理してみると、コントロールしやすくなるでしょう。食材の減るペースなどもきちんと把握できてくると、食材の無駄も減りますので、ご家族が多い人ほど試していただきたい方法です。

また、スマートフォンは今後小学生のお子さんも欲しがるようになってきますよね。今も格安スマホだったり、安いプランのものを検討して使っているのかもしれませんが、会社を変えたり、さらに契約内容の見直しをしてみると、もう少し下げられるかもしれません。

住宅ローンは「繰り上げ返済」より「借り換え」が正解?

今は金利が低い時代です。そのため、繰り上げ返済もよいですが、借り換えを検討してみてもよいでしょう。今の住宅ローンの金利を確認し、ローン残高や返済年数等も考慮しつつ検討してみてください。

借り換えで効果がある条件は以下の3つになります。

・ローンが10年以上残っている
・ローン残高が1000万円以上ある
・金利差が1%以上ある(借り換える前のほうが1%以上高い)

最近はネット銀行などを中心に、手数料を安く抑えているところも多くなってきているので、金利差が0.5%程でも効果がある場合があります。一度インターネットサイトなどでシミュレーションしてみると良いでしょう。

今は年末のローン残高の1%分が所得税、住民税から還付される「住宅ローン減税」を利用できている期間でしょうか? そうであれば、ローン金利が1%に近づくほど利息の支払い負担が減ります。もともと金利が安いローンであれば、このような検討は必要ないのですが、もし金利が高い場合は、繰り上げ返済よりも借り換えをしたほうが良いかもしれないということも視野に入れて、調べてみてください。

投資は長期・分散・積立でコツコツと

投資は、金額だけ見て言うと、まだはじめて日が浅いように思います。ですがコツコツ続けることが大切ですので、運用がうまくいっていないと感じても、続けていきましょう。

投資はすぐに結果が出るものではありません。長期間、コツコツと積立ながら分散投資をしていくことが基本ですが、その「長期」という期間には、いろいろなことが起こる可能性があります。世界の景気に影響するような大きな出来事が起きて相場が下がってしまったり、何かの拍子に相場が上がったり。そういったときに一喜一憂しなくて良いような投資ができるのが「長期投資」です。時間をかけてリスクをならしていくことになるのです。

積立投資では、投資をする時間の分散を、分散投資では、投資する地域や会社等の分散をして、リスクを軽減することができます。

この数年、国が「iDeCo(個人型確定拠出年金)をやりましょう」「つみたてNISAをはじめましょう」などと勧めていますが、これらも長期、分散、積立の投資ができる仕組みです。つまり、リスクを少なく、長い期間投資をすることで、将来の資産を形成していけるということになるのです。節税等を意識しながら投資できる制度でもあることも、魅力の一つです。

また、投資ではありませんが、「ふるさと納税」もぜひ試していただきたいものの一つです。2000円の自己負担で自治体の特産品がもらえる制度なのでお得だとよく言われていますが、最近は災害のおきた地域への寄付が簡単にできるものとしても知られてきています。

2000円を超えた寄付額は、基本、翌年の住民税から控除されます。つまり、住民税の先払い制度のようなものでもあります。ですから、被災地などへの寄付も、自分の支払うべき住民税の範囲の中でできるので、利用している人が増えています。こういったものもぜひ、ご検討ください。

© 株式会社マネーフォワード