【雪が降るとどう変わる?】アルプスと八ヶ岳の雪の絶景ビフォーアフター 清々しい樹木と山頂からの絶景を堪能するために、暑くて汗だくになっても登った夏山。みなさんは今シーズンどこの山に登りましたか?日本アルプスで絶景に感動を覚えた方もいるかもしれませんね。その山に雪が降ると、夏山とはまた一味も二味も違う絶景に会えるんです。今回は「冬も山に行きたいな~!」と思っている方に是非見てもらいたい、雪をまとったアルプス&八ヶ岳の人気の山のビフォーアフターをご紹介します!

白銀の山の世界!自然の雄大さを感じる瞬間

鳥のさえずりや水の流れる音、そして色彩豊かな春・夏・秋の山は、五感をフルに使って楽しめますよね!でも雪が積もった山はとても静かで、山の深さを体で感じるんです。太陽に照らされた雪は眩しく、風と雪の自然が織りなす”シュカブラ”や”エビの尻尾”、そして”樹氷”など、スリーシーズンとは別世界が繰り広げられます!

日本アルプスのビフォーアフター

始めに、日本アルプスからは4座のビフォーアフターをご紹介します。冬でも登山者が多いメジャーなアルプスの山は、どんな景色に変身するのでしょうか?!

①燕岳|2,763m(北アルプス)

【参考ルート】宮城ゲート~中房温泉~合戦尾根~燕岳
アルプスの女王とも呼ばれる燕岳は、初心者の山としてはもちろん、表銀座縦走コースの起点として上級者にも人気の山です。春から秋は中房温泉からスタートできますが、冬期は県道が封鎖されるため、宮城ゲートからの約12kmを歩くことになります。
▼ビフォー

(’19年9月下旬)

山肌の緑に映える白い花崗岩と砂地で構成される斬新さがあふれる山容。常念岳や槍ヶ岳、そして北アルプス主稜線から立山が、ぐるりと一望できる眺めが圧巻です!
▼アフター

(’19年4月下旬)

すっかり冬の色に染まった燕岳ですが、山頂に対面する山々は、燕岳に負けじと我が身を主張するかのように雪をまとって際立っています!

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②白馬乗鞍岳|2,469m(北アルプス)

【参考ルート】栂池自然公園~天狗原~白馬乗鞍岳~白馬大池
ゴンドラとリフトを乗り継いで栂池自然公園からスタートです。樹林帯から灌木地帯を過ぎて、徐々に視界が開けると天狗原に。ゆっくりと深呼吸したくなるような景色が待っています!
▼ビフォー

(’19年8月中旬)

なだらかで優しい山容と樹木の色に癒される眺め。整備された木道のある広々とした天狗原から白馬乗鞍岳山頂付近まで続く、壮大な緑のグラデーション!

▼アフター

(’19年3月上旬)

辺り一面の銀世界に澄んだ青空、そして雪と風が作り出す”シュカブラ”。一枚の白いシルク布のような眺めは、ならだかな山容だからこそですね!

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③木曽駒ヶ岳|2,956m(中央アルプス)

【参考ルート】千畳敷~木曽駒ヶ岳
中央アルプスで最も標高が高い木曽駒ヶ岳。ロープウェイで2,612mまで上れるため、体力に自信がない方でも日帰りで登れるのが人気の秘密です。
▼ビフォー

(’19年8月上旬)

木曽駒ヶ岳とともに人気が高いのが千畳敷カールです。氷河期に氷で削られてこのような地形になったと言われています。奥深くてダイナミックな景色ですね!
▼アフター

(’19年5月上旬)

木曽駒ヶ岳を始め宝剣山や千畳敷カールには、岩に積もる雪の形であるものを例える”雪形”があるんです。訪れる時期により、島田娘、サギダル、盆踊り娘など、自然の造形美も楽しめます!

安曇野市/観光交流促進課

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④地蔵岳|2,764m(南アルプス)

【参考ルート】御座石温泉~西ノ平~燕頭山~鳳凰小屋~地蔵岳~赤抜沢ノ頭
地蔵岳は、観音岳・薬師岳の三座で”鳳凰山”とも呼ばれています。山頂には重なり合った巨石がそびえ立つ”オベリスク”があり、鳳凰山のシンボル的な存在です。

▼ビフォー

(’18年9月下旬)

圧倒的な存在感を醸し出している”オベリスク(地蔵仏)”。まるで雲海の中からオベリスクが姿を現したかのよう。
▼アフター

(’17年4月下旬)

澄んだ青い空に雪で飾られたオベリスクは、周囲に遮るものが何もないぶん一層神々しさを放っています。山容はシンプルな形状ですが、その鋭さは芯の通った貫禄。左奥には八ヶ岳も見えています。

八ヶ岳のビフォーアフター

地蔵岳のオベリスクから、八ヶ岳にズームインしました!北八ヶ岳から2座、南八ヶ岳から1座の山を紹介します。さっそく八ヶ岳ブルーと雪景色を見てみましょう!

①北横岳|2,480m(北八ヶ岳)

【参考ルート】山頂駅~北横岳ヒュッテ~北横岳
ロープウェイ利用でコースタイム2時間強で往復登山ができる、日帰りトレッキングには最適な北横岳。山頂からの眺めは360度の大展望!眼前に蓼科山、南八ヶ岳から遠くは南アルプスまで見渡せます。
▼ビフォー

(’19年8月上旬)

この広い坪庭は溶岩で形成された台地。乏しい土壌条件の溶岩台地には、生命力の強いハイマツやコメツガが生い茂っています。なだらかな山容と新緑に溶岩の異色コラボですが、ゆったりとした空間を得られる眺めです。
▼アフター

(’19年3月上旬)

キュッ…キュッ…とスノーシューで雪を踏みしめる音が聞こえてきそうですね!青い空と白い雪のコントラスト、冬期の山ならではの美しさが見事です。

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②天狗岳|2,646m(北八ヶ岳)

【参考ルート】唐沢鉱泉~黒百合ヒュッテ~天狗岳
天狗岳は、尖りのある男性的な東天狗と丸みのある女性的な西天狗を持つ双耳峰。二つの峰をつなぐゆるやかなS字を描く稜線は眺めも良く、開放的な稜線歩きができます。
▼ビフォー

(’19年8月下旬)

色濃い深緑が明瞭な稜線の弧を記し、仲睦まじい夫婦山のようです。
▼アフター

(’19年4月下旬)

樹氷で周りが遮られても、時折り覗く空と木漏れ日が樹氷の雪を輝かせます。

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③赤岳|2,899m(南八ヶ岳)

【参考ルート】美濃戸山荘~行者小屋~地蔵の頭~赤岳天望荘~赤岳
八ヶ岳の最高峰でもある赤岳は、山名の通り山肌が赤く見えることから名付けられました。登山者には、周囲の小屋を利用して複数日の縦走登山が人気です。
▼ビフォー

(’19年8月上旬)

この赤岳は硫黄岳からの眺め。裾野に続く深い緑は赤い山肌を際立たせ、その威風堂々と構える姿は登山者に感動を与えます!
▼アフター

(’19年4月下旬)

冬期の赤岳は、澄んだ青空に映える漆黒の山肌。覆う雪は険しい山容を浮き彫りにし、立ちはだかる勇猛な壁となっていますね。圧倒されるこの眺めは忘れられない瞬間に。

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冬山を安全に楽しむために

雪山は夏山と違い、気温や気候などで難易度が上がります。それに伴い登山で準備する道具も変わり、 また学ばなくてはいけないことも増えてきます。

①ウェアや装備をそろえよう

低温環境下でも安全に行動するために、雪山専用の登山靴とウェアや装備が必要です。そして足を運ぶ山により、必要な装備を選択しましょう。
雪山に必要な道具:ハードシェル、グローブ、ゴーグル、バラクラバ、ピッケル、スノーシューやワカン、アイゼンなど

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②雪山の歩行技術を学ぼう

道具をそろえたら、グローブをした状態で登山靴にアイゼンやスノーシュー、ワカンを装着する練習をしましょう。雪山では素手になることは厳禁です。何度も装着の練習をし、短時間で装着ができるようにするのがベスト。

次は雪山での歩行技術を学びましょう。講習会などで習得するのがおすすめです。

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③気象条件に注意しよう

変わりやすい山の天気は、冬山でも注意が必要です。風が吹くことにより雪が舞って視界が遮られる”ホワイトアウト”や雪崩など、天候の変化で雪山登山の難易度が変わります。また天候だけではなく体温低下や低体温症などのリスクも高くなるため、冬期の登山の際には向かう山域の気象条件を確認し、時には登山計画を中止する判断が大切です。

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見渡す限りの雪と青空!冬山の奥深さに魅了

(12月の赤岳)

表情豊かな季節から、だんだんと色の数が少ない冬の山へ。でも、冬は空気が澄んで、白い雪は山そのものを引き立て、いつもと違った景色を見せてくれます。スリーシーズンに訪れた山に、冬に再訪するのもいいものですよ!ぜひ安全登山で、冬山の新しい発見に挑戦してみて下さいね。

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