県内小売店大忙し 消費税10%スタート

店内での飲食の場合は会計時に申し出るよう求める案内を掲示したスーパーとむら油津店=1日午後、日南市岩崎2丁目

 消費税率が1日、10%に引き上げられた。県内の小売店では値札の差し替えや、軽減税率導入による税率の違いを周知するなどの対応に追われた。レジ更新などの準備を進めてきた各事業所では大きな混乱は見られなかったが、新たに始まったポイント還元の制度に戸惑う客の姿も見られた。
 日南市岩崎2丁目のスーパーとむら油津店では、引き上げ対象の日用品や酒類などの値札の差し替えが開店までに間に合わず、一部の値札を外して対応。また、弁当などを持ち帰る場合は8%だが、店内飲食コーナーで食べる場合は10%となるため、会計時に申告するよう求める案内を掲示。松本正文店長(59)は「よく利用する常連客には声掛けするなど、周知を図りたい」と話した。
 宮崎市本郷南方のスーパー「マルイチ本郷店」は、キャッシュレス決済を利用すれば5%のポイント還元を受けられる対象店。同日は、レジの会計時に慌てて電子マネーカードを申し込む客もいた。
 同市本郷3丁目、主婦蛭川美恵子さん(69)は電子マネーカードで支払い後、レシートを確認し「ポイントはいつ、どのように還元されるの」と店員に質問。蛭川さんは「ごみ袋などの値段を見て増税を実感した。年金生活なので家計は厳しい。必要なものだけ買うようにしたい」と話した。
 子ども4人を育てる同市東宮1丁目、会社員前田羊介さん(43)は、8%に据え置かれるコメなど食料品を購入。「子育てにはお金がかかる。軽減税率はありがたいが、ガソリン代などで負担が増しそう」と警戒。幼児教育・保育の無償化も同日スタートしたが、すでに小学生の3児は対象外で、「恩恵は薄い」とこぼした。
 軽減税率対象外の酒類やたばこを扱う延岡市安賀多町2丁目の「ふじはら酒店」では、増税前日まで駆け込み購入が一部で見られたものの、反動減はなかったという。
 交通関係では、JR九州は始発までに全て新料金の表示に切り替え、混乱はなかった。宮崎交通の路線バスも誤徴収などはなかった。県内の各税務署によると、増税に伴う大きなトラブルは報告されていない。

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