増税で消費反動減懸念 県内 経済・業界団体トップ 軽減税率の対応「負担」

 消費税率が10%まで引き上げられた1日、県内の経済・業界団体のトップからは今回の増税で景気に大きな影響はないとの見方がある一方、消費の反動減や初めて導入された軽減税率の複雑な制度そのものを懸念する声も聞かれた。

 「消費マインドの冷え込みが心配だ」。高田順一県中小企業団体中央会長は先行きを懸念する。「過去の増税後に景気が上向いたことはない。中小や零細事業者は景気に業績が左右されやすい」と話す。

 金岡克己県経営者協会長は「過去の消費増税時も駆け込み需要があった後、大きな反動減が生じた。今回は大丈夫という確証はないのではないか」とする。

 政府は前回の増税時に景気が落ち込んだことを受け、軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元などの対策を打ち出している。しかし景気の腰折れに対する警戒感は強い。品川祐一郎県軽自動車協会長は「前回ほどではないが、自動車業界でもわずかに駆け込み需要があった。ある程度の反動減はあるだろう」とみる。

 石澤義文県商工会連合会長は「支援策があることなどから、県全体として大きく悪化するとは思えない」としつつ「小売業や飲食・宿泊業は影響が大きいと思う」と言う。高木繁雄県商工会議所連合会長は「景気に若干の影響はあるだろうが、一時的だと思われる。中長期的には持ち直すだろう」との見方を示す。

 今回の増税を巡っては、事業者が軽減税率やキャッシュレス決済への対応を求められた。石澤会長は「負担になっている。対応が遅れている事業者もいる」と言う。麦野英順富山経済同友会代表幹事は「対策の導入は評価できるが、制度が煩雑。もっとシンプルな税制にすべきだ」と指摘する。

 消費税増税に加え、米中貿易摩擦など世界情勢による景気の悪化を懸念する声も。黒部市宇奈月温泉の旅館やホテルの女将(おかみ)でつくる「かたかご会」の濱田昌子会長は「富山は製造業が多いので世界情勢の影響を受け、接待での利用が減る可能性がある」と懸念する。麦野代表幹事は「県内を含む国内景気は米中貿易摩擦など外的要因に左右されやすい。消費税単独での影響は少ないだろう」としている。

ポイント還元のポスターを掲示した飲食店=富山市内

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