ドイツのテレビ史上最大の規模で制作された話題の連続ドラマ「バビロン・ベルリン」が待望の日本初放送! 先行上映会&トークイベントリポ!

ドイツのテレビ史上最大の規模で制作された話題の連続ドラマ「バビロン・ベルリン」が待望の日本初放送! 先行上映会&トークイベントリポ!

BS12トゥエルビでは、毎週金曜午後7時から「金曜キラー通り」と題して、上質な海外ミステリー・サスペンスドラマを放送しています。10月4日の放送からは、ドイツのテレビ史上最大の制作規模で作られた連続ドラマ「バビロン・ベルリン」が日本初放送でスタート。ナチス台頭前のワイマール共和国を圧倒的なビジュアルで描き、各国の賞を総なめにした話題作です! 今回、日本初放送を記念して、ゲーテ・インスティトゥート東京ホール(ドイツ文化会館)にて、第1話の先行上映と「ベルリンは晴れているか」の著者、深緑野分(ふかみどり・のわき)さんと映画評論家・共同通信編集委員の立花珠樹(たちばな・たまき)さんをゲストに迎えたトークイベントが開催されました。

まず、ドラマ「バビロン・ベルリン」について簡単にご紹介します。舞台は1929年。繁栄と貧困、自由と退廃が混然となったワイマール共和国時代のドイツ。ケルンから首都ベルリンに赴任してきた刑事のゲレオンと、貧しい一家を支えるため、昼は警視庁の記録係として働き、夜は別の顔を持つシャルロッテ。時代の波にのまれながらも、懸命に生きる2人の主人公が次第に革命と金塊が絡む、巨大な陰謀に巻き込まれていきます。

それでは、先行上映後に行われた深緑さんと立花さんのトークショーの様子をお届けします。

立花「大きなスクリーンで見てドキドキしました。今後の展開が楽しみです」

深緑「1話だけでも内容が盛りだくさんで、これから何が起きるんだろうという感じですよね」

立花「ワイマール共和国は1919年~33年まで続いた国なんですが、バビロン・ベルリンは29年4月から物語が始まっています。それがどんな時代だったかは、いろいろな説明があると思うんですけど、深緑さんの著書『ベルリンは晴れているか』の小説から類推します。小説は45年のベルリンが舞台になっていて、主人公のアウグステは28年生まれですが、当時のベルリンの様子がまるで見てきたかのように活写されていて驚きました」

深緑「『バビロン・ベルリン』の世界が、29年4月から始まっているということでしたが、当時のナチスが同年の秋頃にくるんです。20年代は“ベルリンの黄金時代”でしたが、政権が社会民主主義になり、いろいろなことが自由になって豊かになりました。その反面で貧困もあり、貧富の差や不満もどんどんたまっていったところで、世界恐慌に見舞われるという時代背景があります。ドラマはそこまでいかないですが、あの春が最後のたそがれですよね」

立花「ドラマでも当時のベルリンの雰囲気がとてもよく描かれていると思います」

深緑「そうですね。当時のベルリンはダンスホールが何百もあるような状態で、1話だとさわりの部分しか出てないんですけど、2話目以降でその様子がよく分かります」

立花「当時のベルリンはキャバレーという文化がとても盛んだったんですね。『嘆きの天使』というドイツ映画が30年に公開したんです。この劇中でもキャバレーが出てくるんですが、その雰囲気を思い出しました。ドイツ人の監督が制作していることもあって、ドイツ人の特徴をよく捉えた作品という印象もありましたね」

深緑「1話の中盤で、ソ連のレジスタンスが乗っ取った列車が、ドイツ側に止められるシーンがあります。書類を確認する際に『サインがない』と言われ、その時に国防軍の制服を着たすごく偉そうな少将が出てきてサインを書いていましたが、国境警備軍側が『フルネームでお願いします』と書類を突き返した時に笑ってしまいまして。すごくドイツ的だと思ったんです。『ベルリンは晴れているか』を書いていた時も、ドイツの人たちの特徴を調べたんですが、書類にすごくこだわりがあって、とにかく決まりを正しく作っていくんです。書かれたサインが少将のもので間違いないか疑っているのかなと思いきや、実はあれはドイツ人の本質を意識した演出なんだと思うんです。実際に汽車に乗る時も、とても多い書類を提出しなければいけなくて、本当に書類に関する彼らの生真面目さが出ていて面白いなと思いました」

立花「深緑さんがベルリンにひかれたのは、何か理由があるんですか?」

深緑「ドイツというよりは、ベルリンという都市にひかれるんです。ワイマール共和政の時もそうですし、ナチス政権、東西分断などありましたが、なぜか強烈な磁力があって、魅力があるんですよね。ロンドンとかニューヨークとかも行ってみたんですけど、ベルリンはなにか違って…。街自体はガランとしてるんですけど、近寄ってみるとすごく熱があったり、街を見てみても四つの時代が同時に混在しているんですよね。日本だと、江戸時代の長屋と近代建築が隣接して住むということはあり得ないんですけど、ベルリンはそういうことが割と多くあるんですよ。自分でもなんでベルリンなのかは分からないんですけど、調べれば調べるほど楽しいんです」

立花「監督のトム・ティクヴァも素晴らしい監督ですよね」

深緑「映画『ラン・ローラ・ラン』がブームになった時に、作品を見ました。私は特に『パフューム ある人殺しの物語』がお気に入りで、『バビロン・ベルリン』の最後のエンドロールを見たら、カメラマンやアートディレクターの方が『パフューム ある人殺しの物語』と同じチームだと気づき、クオリティーの高さと、魅力的な猥(わい)雑さがあると納得しましたし、美術も凝っていると思いました」

第1話でケルンから首都ベルリンに赴任してきたゲレオンが、「一度はベルリンへ」というポスターを見ているシーンがあります。当時の人々もベルリンという都市の何かにひかれて、訪れたのでしょうか。とても興味深いですね。最後に、深緑さんと立花さんより、これから放送を楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをいただきました。

立花「シャルロッテ役のリブ・リサ・フリースさんは90年の壁がなくなった時代のベルリンで生まれました。14歳の時に映画『レオン』のナタリー・ポートマンの演技にひかれて女優を目指して進んできた人ですが、ベルリンの新時代を生きてきた人が29年の時代を演じているというのは、とても面白く魅力的だと思います。放送も毎週2話ずつなので、録画して何度も見返してほしいです」

深緑「今後もっと面白くなっていくので、テレビシリーズをぜひ見てください」

「黄金の20年代」と呼ばれた当時のベルリンの様子が克明に再現され、テレビドラマとは思えない迫力の映像と音楽のクオリティーに、記者も圧倒されました。日本初上陸となるドイツドラマの歴史エンターテインメントの世界をぜひ堪能してください。放送をお楽しみに!

【番組情報】


「バビロン・ベルリン」(新番組)
BS12 トゥエルビ
10月4日スタート 毎週金曜 午後7:00~(2話連続放送)

BS12 トゥエルビ担当Y・A

© 株式会社東京ニュース通信社