「終息していく可能性高い」 箱根の火山活動「低下傾向」、東海大調査

噴気活動の続く大涌谷で行われた火山ガスの定点観測(東海大理学部大場武研究室提供)

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられている箱根山(箱根町)の大涌谷で2日、東海大による火山ガスの定点観測が行われた。採取したガスの成分を分析した大場武教授は「火山活動は低下傾向」と指摘。「このまま終息していく可能性が高い」との見方も示した。

 大場教授が活動の盛衰を見極める際に指標としているのは、ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)の硫化水素(H2S)に対する比率。大涌谷と周辺の噴気地帯で採取したガスについて9月の前回調査時とそれぞれ比べたところ、2カ所とも比率の数値が低下し、活動が衰えてきていることを示した。8~9月は数値がわずかに上昇していた。

 この日の火口周辺の状況について、大場教授は「ガスの臭いや刺激はあまり感じられず、噴気の勢いも強くなかった」と説明。「火山活動の低下傾向がガスにも現れている」と受け止めている。

 箱根山では5月19日に噴火警戒レベルが2に引き上げられて以降、小噴火への警戒が呼び掛けられてきたが、9月に入り活動は低下傾向。気象庁が観測した火山性地震は9月の1カ月間で6回に減り、マグマの活動を示唆する山体膨張の地殻変動も収まりつつある。

© 株式会社神奈川新聞社