年度内に一部着工 海老名市道上郷河原口線

 海老名駅西口のまち開きから間もなく3カ月。海老名市は周辺の交通渋滞軽減策として、新設が遅れている市道「上郷河原口線(仮称)」を2015年度内に先行して一部着工する方針を決めた。延長約700メートル、幅員約16メートルの道路は、市有地を除いた用地取得率が50%に達していないが、「整備の見える化」によって停滞気味の進捗(しんちょく)状況の改善を目指す。

  市道路整備課によると、上郷河原口線は同駅西口のまち開きを見据えて06年度に計画立案。西口の市文化会館、市中央図書館前を東西に走る主要地方道横浜厚木線(県道)から北側へJR相模線、相鉄線(貨物線)の交差部分を地下化(アンダーパス)して主要地方道町田厚木線(県道)につなぐ。

  JR相模線から北側の区間約700メートルは大半が民間の農地。市は13年度に用地買収を始めたが、地権者との交渉は難航、15年10月現在の取得率は47%にとどまっている。開通時期の見通しが立たない中、10月下旬に西口の大型商業施設「ららぽーと海老名」が開業、来店する車両で交通渋滞の悪化が懸念されている。

  11月の市長選で4選を果たした内野優市長は交通渋滞を「喫緊の最重要課題」に“格上げ”、早期の解決を公約。早速、一般会計の12月補正予算案に同線の整備費の繰り越し処理を盛り込み、12月18日の市議会定例会で可決された。

  第1期区間として先行着工されるのは約120メートルで費用は約7500万円。16年3月に着工、同8月の完成を予定している。

  市が市道整備を急ぐ背景には、同線と同時進行する県の「下今泉門沢橋線」の拡幅事業の大幅な遅れもある。交通渋滞の要因となっているJR相模線、相鉄線の踏切の立体交差化と4車線化が計画されている。市は長年、早期実現を要望してきた経緯がある。

  内野市長は「今回のまち開きによって交通インフラの弱点箇所が浮き彫りになった。上郷河原口線は用地買収に不測の時間を要している現状だが、建物が立ち、人の往来も増えれば、道路整備の必要性に理解も広がってくるだろう」との考えを示した。

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