海風感じ、ラグビーW杯を堪能 横浜のファンゾーン大盛況

海風を受けながら試合観戦が楽しめるファンゾーン=9月28日、MM21地区の臨港パーク

 ラグビーワールドカップ(W杯)の生中継を、多くのファンと一緒に大型モニターで観戦できる、横浜・みなとみらい21(MM21)地区のファンゾーンが盛況だ。日本が優勝候補のアイルランドを撃破した9月28日には延べ約1万4千人が来場し、入場規制もかけられた。史上初となる日本の8強入りに向け、今後ますます目が離せない試合が控える中、ファンゾーンもさらに盛り上がりを見せそうだ。

 無料で入場できるファンゾーンはW杯期間中、全国12の開催都市が公園やホールなど計16カ所に設置している。県と横浜市が開設した横浜会場は中でも最大規模で、8千人以上を収容できる。11月2日の決勝戦まで、週末を中心を計32試合を生中継する。

 多くのファンと一喜一憂できるだけでなく、横浜港が一望できる立地も魅力の一つ。ビールを片手に芝生の上で観戦する家族連れやカップルの姿も目に付く。アイルランド戦が行われた9月28日に、2児を連れて来場した森川琢也さん(33)、彩也加さん(32)夫妻は「開放的で最高。子供連れでも来やすく、雰囲気も良いのでまた来たい」とほほ笑んだ。

 来場者の胃袋を満たすメニューも豊富だ。ご当地グルメや地元の食材をコンセプトに計約30店が出店。唐揚げや焼き鳥を販売している鶏肉専門店「梅や」(同市中区)は「開幕戦当日は不安で商品を少なめにしたら、30分ほどで売り切れた。ラグビーファンはよく食べますね」と笑い、「この盛り上がりが最後まで続いてほしい」と話した。

 多様性が魅力の競技らしく、出場国の文化を知るための企画も用意。生中継の前後には、パフォーマンスグループらがニュージーランド代表が試合前に踊る伝統舞踊「ハカ」や、スコットランド音楽などがステージ上で披露される。日本では、「風魔忍者-レジェンドオブ小田原」が和楽器の演奏に合わせ、迫力ある殺陣で会場を魅了。グループの忍者頭の角田才蔵さん(47)は「日本代表の勝利のためにも、お客さんに盛り上がってもらえたら」、和楽器代表の岸田晃司さん(33)は「海外の人にも、和楽器や日本文化を知ってほしい」と力を込めた。

 会場には大人だけなく、子どもも楽しめるよう、ラグビー体験といったアクティビティコーナーも設けられている。

 市担当者は「1日1万人を想定していたので、盛り上がりは予想以上」と“想定外”の人気を喜ぶ。決勝トーナメントでは予選より1日の試合数が減るが、「時間に余裕ができる分、ステージイベントを充実させる」と説明し、「より多くの人々に楽しんでほしい」と来場を呼び掛けている。

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