人形と寄せ木が融合「寄木からくり大名行列三人揃」 箱根

大名行列を再現したからくり人形

 からくり人形で大名行列を再現した作品「寄木からくり大名行列三人揃(ぞろい)」の展示が4日、神奈川県箱根町湯本の本間寄木美術館で始まる。寄せ木細工で作られた衣装を着けた人形もあり、日本の伝統芸能と工芸の融合が楽しめる。

 同館が今年で開館25周年を迎えることなどから、館長で箱根寄木細工伝統工芸士の本間昇さん(87)がからくり人形師の9代目玉屋庄兵衛さん(65)=名古屋市=に制作を依頼。本間さんが手掛けた寄せ木細工(厚さ約0.2ミリ)などを衣装に使い、玉屋さんが約8カ月かけて奴(やっこ)、殿様、中臈(ちゅうろう)の3体(高さ25センチ)を完成させた。

 作品は電動式。「箱根八里」のメロディーが流れる中、扉が開いた大名屋敷から3体が順番に登場し、3分40秒かけてゆっくりと1周する。3体は絹糸(太さ0.85ミリ)で操られ、はさみ箱を担いだ奴が足を動かす所作も見られる。

 玉屋さんは「からくり人形の衣装で寄せ木を使ったのは初めてではないか。普通の生地と比べて硬さがあり、動きは制限されるが趣がある」と出来栄えに満足。本間さんは「二つの伝統が合わさったことは最大の喜び。箱根に来る多くの人に見てほしい」と話している。

 展示は午前11時と午後2時から。5日以降は、土日・祝日。時間外に来館しても楽しめるよう、動画でも紹介する予定。入館料は大人500円など。問い合わせは、同館電話0460(85)5646。

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