ホンダ勢が初日ワン・ツーもセッティングに悩み。ヤマハ勢は新アイテム投入/全日本ロード第7戦

 オートポリスで開催されている全日本ロードレース選手権第7戦JSB1000クラスは初日を終え、ホンダ勢がワン・ツーと速さを見せているがセッティング面で悩みを抱えている。一方、ヤマハ勢は今大会にニューアイテムを投入し、自信を覗かせている。初日の走行後、トップタイムをマークした水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)と、タイトル争いをする高橋巧(Team HRC)と中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)にマシンの仕上がり具合を聞いた。

 第7戦は2戦ぶりの2レース制、土曜日に計時予選とレース1が行われ、日曜日にレース2が行われるスケジュールだ。周回数はレース1、2ともに20周で争う。

 9月25日からオートポリスで3日間行われた公開テストでは中須賀が1分47秒523をマークして総合トップ、2番手に1分47秒763で野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEA)が続き、ヤマハ勢がワン・ツーで終えた。3番手は1分47秒775を記録した水野。ランキングトップの高橋は1分48秒079を記録し、4番手だった。

 迎えた第7戦のレースウイーク初日では、水野が1分47秒736をマークしてトップに。2番手に1分47秒884を記録した高橋がつけ、公開テストとは逆にホンダ勢が初日をワン・ツーで制した。

 JSB1000に上がって初めて初日をトップで終えた水野だが「コースレコード(中須賀が2018年に記録した1分46秒909)に比べれば全然だし、公開テストのトップタイムよりも遅かったです」とセッティングが決まっていない様子。初日を次のように振り返る。

「トップタイムではありましたが、手ごたえはそこまでないです。今日のタイムも1発のタイムだったので、レースに向けては、セットアップを詰めていかなければなりません。予選も使ってマシンを仕上げていかないと決勝は勝負にならないという感触があります」

「テストでは中須賀選手がひとり抜け出ていて、アベレージもいいように見えました。今日の自分のアベレージは全然よくなかったですし、テストでの中須賀選手のアベレージに比べるとまだまだ安定していなく、すごく波があります」

 水野が記録したタイムが公開テストで記録した中須賀のタイムよりも約0.2秒遅かった。これに関しては前日に降った雨の影響が大きいと水野は言う。

「コンディションは前日に雨が降ってラバーがのっていなかったので、テストの時と比べるとよくないです。明日からはセッション毎にラバーがのってきてコンディションがよくなると思いますが、その分、周りも走行ごとにタイムが上がってきます。なので、自分ももっと頑張らないといけないですね」

 後半戦から躍進を見せる水野だが、第5戦もてぎ、第6戦岡山と2戦連続の2位という結果に悔しさをにじませている。土曜日からのレースに向けては「今回こそ勝ちを狙いたいです」と強く意気込んだ。

高橋巧(Team HRC)

 2番手で終えた高橋も、今のマシンの仕上がりに納得していない様子だ。「タイムも上がってきているので、テストの時よりはフィーリングは良くなってきました」と高橋。

「初日は、テストのときにできなかったセッティングを今回、急遽試しました。それがいい方向にいっているので、出来としてはそんなに悪くないという感じです」

「どのくらいのアベレージで走れるのかもテストで見れていないので何とも言えませんが、テストの時よりは気持ちよく乗れてるので、予選、レースに向けては問題ないと思います」

 第5戦もてぎ前に負った怪我は今大会では問題ないという高橋。「ポイントの取りこぼしは絶対してはいけません。ミスは絶対しないというのを大前提に考えながら、決勝はチャンスがあれば攻めていきます」と、決勝に向けて照準を合わせる。

■新アイテム投入で自信を覗かせるヤマハ勢

 公開テストをトップタイムで終えた中須賀は、ART合同走行では1分48秒024で総合4番手に終わった。初日を終えた中須賀は「新しいアイテムがまとまってきたので、バイクも良くなっています」と話す。

 中須賀が言う“新しいアイテム”は公開テストから使用しているもののようで、その詳細は明かさなかったが「ニューアイテムのおかげでフィーリングも良くなっているし、(野左根)航汰もそのアイテムでよくなってきています。なので、やっていることの方向性が間違っていないことは確認できています」と仕上がりに自信を覗かせる。

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)

 タイトル争いでは182ポイントでランキングトップの高橋から21ポイント差で2番手につける中須賀。残り4レースで逆転タイトルの望みをつなげるためにも、オートポリス戦でダブルウインを狙う必要がある。

「自分は追いかける側なので、やるべきことは勝つこと。残り2大会4レースをしっかり勝てるように準備を進めているところです。最終戦までタイトル争いをするために、オートポリスでダブルウインできるように自分の仕事をしっかり進めていきます」

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