プラスチックゴミの海洋汚染が世界的な問題として注目されはじめた頃、いち早くプラスチック製の使い捨てストローの使用をやめることを発表したでも有名なスターバックスコーヒー。
スターバックスは2020年までに世界中にあるすべての店舗で全廃するとのことを打ち出しました。その後もファストフードやファミリーレストランでも同様の動きが広がりつつあります。
代替品の一番手として候補に挙がっているのが紙のストローですが、口当たりが良くない、耐久性に欠けるなどのデメリットも指摘されています。
今回はプラスチック製ストローに代わる、新しい素材のストローを作るサステナブルな取り組みについてご紹介します。
■海や土でも分解されるアイデア満載のエコなストロー「Lolistraw(ロリストロー)」
※写真はイメージ図です
プラスチック製ストローの使用をやめる動きが広がれば、注目されるのがその代替品です。
- 「紙製のストローに変える」
- 「ふたを工夫してストローなしでも飲めるようにする」
といった対応が考えられているようですが、一方で
- 「紙製のものは時間が経つと口当たりが悪い」
- 「障がいを持つ人の中にはストローを必要とする人もいるので、ストローがなくなると困る」
など、様々な意見があります。
そんな中、アメリカの「Loliware」社が開発の「Lolistraw(ロリストロー)」が注目されています。
ロリストローは見た目は普通のストローと何も変わらないように見えますが、その意外なものとはなんと海藻です。
さらに驚きなのは海で分解されるうえに堆肥化も可能で、ゴミとして捨てられても60日以内で分解されます。
「海で分解されるということは、飲み物の中に入れても分解されてしまうのでは?」という疑問を持ってしまいますが、18時間以上の連続使用に耐えられるように作られており、保存期間も2年間となっているので、安定した供給が可能と発表されています。
■驚き!食べられるストローってどういうこと?
このストローの最もユニークな点はなんと「食べられる」んです。
アイスティーなどの飲み物と相性の良いシトラスやバニラダストなどのいろいろなフレイバーが付いており、自分の好きなフレイバーを選ぶことができます。
カラフルな色合いも特徴の「Lolistraw(ロリストロー)」、キャンディーやポッキーのようなお菓子感覚で食べることができます。
しかし、環境保護は非常に重要なことと分かってはいても、自然由来の商品は地味な色合いのものが多いため、どうしても注目されにくいというデメリットもあります。
と言っても、環境問題と向き合い様々なアイデアを駆使して作られたこの新しいストローは、世界を変える商品の可能性を大いに秘めています。
■代替品は紙だけじゃない!木材や竹を使ったストローも登場
・世界初の木材ストローを広げよう!「Wood Straw Project(ウッドストロープロジェクト)」
住宅事業を展開するアキュラホーム株式会社とザ・キャピトルホテル東急では、2019年1月から「Wood Straw Project(ウッドストロープロジェクト)」をスタートしました。
環境ジャーナリストの竹田有里氏が、平成30年の豪雨の被災地を取材した際に発案した「木材ストロー」の製品化に向け両社が賛同して始まったプロジェクトで、製造・販売については「木の紙」の商品開発・販売を展開している株式会社クレコ・ラボが行っています。
薄くスライスした木材で巻くストローの製作・量産・導入は世界初の試み。3社が何度も協議や試作を重ねて製品化を目指してきました。
ストローの原材料には、森林保全のために間引きされた木材である間伐材を含む国産材を使用。見た目や手触りには高級感があり、温もりも感じられるストローに仕上がっています。この商品を導入することはプラスチック製ストローの削減に繋がるだけでなく、森林保全の一助にもなるサステナブルな取り組みです。
・不用な竹を使った「竹ストロー」で実証実験~浜松市が行う環境問題への取り組み
静岡県の浜松市では「竹ストロー」の実証実験を2019年7月に実施しました。
約1,000本の竹ストローを用意し、市内の一部の飲食店で希望者に使用してもらい、その使い心地や適正価格などのアンケートを行って効果を検証するという方法です。
浜松市内には放置状態の竹林が約900ヘクタール分あり、ほかの植物を侵食することで生態系を壊してしまったり、土砂災害を引き起こしたりする可能性が指摘されています。
今回の実証実験は脱プラスチック製ストローという社会の流れと、不用な竹の活用方法を考えて行われた取り組みです。浜松市では実験結果で得られた効果や課題、また生産体制なども検討した上で、実際に導入する方向で進めていく予定です。
竹林が原因の環境問題は浜松市に限らず、日本各地やアジア圏を中心とした海外でも重要な問題となっています。
今回の「竹ストロー」が実際に導入されれば、竹林で困っているほかの地域の方々にとっても、問題をクリアするための朗報といえます。
プラスチック製ストローの廃止は環境保護にとって重要な大きな一歩です。
ストローだけでなく、レジ袋やプラスチックトレーなどの削減にも良い影響が及んでいます。
また、自治体や企業が取り組むことはもちろんですが、消費者もその重要性を理解し、積極的にプラスチック製の使い捨てアイテムを廃止していく社会へと進めていくことが重要といえます。