諏訪にきらめけ! くんち新世代・5(完) 籠町・龍踊 桐谷誠徳さん(20) 学業両立、晴れ舞台へ

力強く龍を操る桐谷さん(左)=長崎市西小島1丁目、大徳寺公園

 籠町は最初に龍踊(じゃおどり)を奉納した「本家」だ。とぐろを巻いて玉を探す「ずぐら」、胴くぐりを見せる「玉追い」といった激しい演技でくんちファンを熱狂させる。長崎大工学部2年生の桐谷誠徳さん(20)は今回、龍を操る「龍衆(じゃしゅう)」として初出演する。
 長崎市川平町生まれ。母の知人である籠町の人の仲立ちで、7年前の前回奉納時には龍踊の唐楽拍子(とうがくひょうし)の一員として出演した。高校2年になった2016年、県外の大学に進むことも考えていたが、3年後の龍踊のことも気になっていた。
 ちょうどそのころ、龍指揮者で顔見知りの平野大介さん(41)と籠町でばったり出会い「くんちに出ないか」と誘われた。それから月に数回、自主練習に取り組み、棒を使って基礎を教わるようになった。
 受験が迫ると、勉強に集中するため練習を中断した。「必ず戻る」と誓い、くんち出演を励みに勉強を続けた。昨年春に合格したときは涙を流して喜んだ。
 今年は6月の小屋入り前から自主練習に励み、8月以降はほぼ毎日、厳しい稽古を積んでいる。学業やアルバイトとの両立に悩んだ時期もあったが、時間を有効活用するように心掛けて乗り切った。
 持ち場は先頭から3人目の「3番衆」。先輩の助言を受け、頭と連動した動きを習得しようと奮闘している。今年、籠町は約50年ぶりに龍を新調した。若い力で龍に命を吹き込むつもりだ。

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