メクル第403号 10月10日「目の愛護デー」 スマホ利用は親子でルールを

暗いところでスマホの明るい画面を見るのは刺激が強く、目に悪い(写真はイメージ)

 10月10日は「目の愛護(あいご)デー」です。近年、子どもたちの視力(しりょく)は低下傾向(けいこう)にあり、急速に普及(ふきゅう)しているスマートフォン(スマホ)などの影響(えいきょう)が気になります。そこで長崎市金屋町の本多(ほんだ)眼科(がんか)院長、大野(おおの)あかねさん(51)=県眼科医会公衆衛生(こうしゅうえいせい)理事=に、スマホを使うときに注意する点や、目の健康を保(たも)つためのポイントについて聞いてきました。

「親子でスマホなどの使い方のルールを設けるべき」と語る大野さん=長崎市金屋町、本多眼科

 文部科学省の2018年度学校保健統計調査(ほけんとうけいちょうさ)によると、裸眼(らがん)の視力が「1.0未満」の小学生と高校生の割合(わりあい)が過去(かこ)最悪となっています。「1.0未満」の割合は幼稚(ようち)園が26.68%、小学校34.10%、中学校56.04%、高校67.23%。中学校も、過去最高となった前年度と同じくらい高い割合でした。

◆目の筋肉が疲労(ひろう)

 視力低下の原因(げんいん)の多くは、近視によるものです。近視とは、近くは見えて遠くはぼやける状態(じょうたい)です。スマホやタブレットなどの普及で画面を近くで見る機会が増(ふ)えたことが、視力低下に影響していると考えられます。
 特にスマホは小さい画面に情報(じょうほう)がぎっしり詰(つ)め込(こ)まれています。子どもたちは、小さな文字を見ようと顔を画面から20センチほどの距離(きょり)に近づけ、しかも長時間見がちです。
 遠くを見るときは、レンズの役割(やくわり)を担(にな)う水晶体(すいしょうたい)とつながる「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉はリラックスした状態ですが、近くを見るときにはその筋肉を使います。近くを長い時間見続けると筋肉が疲労(ひろう)し、目のピントの自動調節ができなくなり、近くにピントを合わせたままの近視の状態になるのです。

◆「内斜視(ないしゃし)」が増加(ぞうか)

 人は近くのものを見るときに寄(よ)り目になります。スマホの過剰(かじょう)な使用で、寄り目が元に戻(もど)らなくなる「内斜視(ないしゃし)」になる子どもが増加(ぞうか)しているという報告(ほうこく)があり、注意が必要です。寄り目で遠くを見ようとすると、視線がクロスしてものがダブって見え、生活に悪影響を与(あた)えます。
 また、スマホやタブレット、ゲーム機などの明るい画面は刺激(しげき)が強くて目がとても疲(つか)れます。目の疲れは頭痛(ずつう)やめまい、吐(は)き気(け)なども引き起こします。特に暗い部屋で画面を見るのはとても目に悪く、また夜遅(おそ)い時間に見ると、日中だと錯覚(さっかく)して体内時計が狂(くる)い、睡眠(すいみん)の妨(さまた)げにもなります。いずれも避(さ)けましょう。
 とくに小学校低学年の成長期の子どもたちに、長時間のスマホにより目に負担(ふたん)がかかりすぎることは望ましくありません。しかし、夜遅くまでスマホをいじっている親が、子どもにスマホの利用を控(ひか)えるように言っても説得力はありません。親自身も使い方を見直す必要があります。
 例えば▽スマホは目から30センチ以上離(はな)す▽30分ごとに休憩(きゅうけい)する▽夜○○時以降(いこう)は使わない-など、親子でルールを決めるのがいいでしょう。子どもがどのような使い方をしているのか、いつも気に掛(か)け、必要なときにきちんと指導(しどう)することは親としての責任(せきにん)です。

◆不調になる前に

 子どもにとって、しっかり寝(ね)て、食べて、体を動かして遊ぶことは、目、脳(のう)、体の成長にとても大切です。スマホの便利さや楽しさも上手に利用しつつ、スマホから離(はな)れて過(す)ごす時間をつくってみましょう。スマホなどの使いすぎによる目や体の不調が起きる前に、家族でもう一度、使い方を見直してみてはいかがでしょうか。

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